2016年第105回ILO総会

第105回ILO総会開幕:「私たち皆が望む仕事の未来を生み出そう」と国際社会に呼びかけるILO事務局長

記者発表 | 2016/05/30

 5月30日にジュネーブで開幕した第105回ILO総会の開会式で、ガイ・ライダーILO事務局長は、現在見られる不平等、疎外、分断は、仕事の世界が反応すべき現象などではなく、「私たちの活動、振る舞い、決定の結果」であるとして、187加盟国から集まった5,000人を超える政労使代表に対し、仕事の世界に変革を起こすほどの変化の利益の実現に向けて、ILOに付託された社会正義の任務に対する責任を引き受けるよう呼びかけました。そして、「世界は科学技術が生産生活に革新的な混乱を生じさせている時代に入った」として、そのような展開を祝福する人々と恐怖する人々との間で不平等、疎外、分断を背景とした議論が起こっていることを紹介し、既に許容できない水準の不平等を越えているかあるいはこれに向かっている現在の趨勢の継続を許すならば、「最終的に私たちは皆敗者となってしまうだろう」と訴えました。

 『貧困終焉イニシアチブ:ILOと2030アジェンダ』と題する今年の事務局長報告を紹介するに当たり、ライダー事務局長は「貧困を歴史のかなたに追いやる展望を提供する能力を形成する富そのものが、私たちを社会正義に近寄らせるのではなく、そこから遠ざける危険性をもはらんでいる」と警鐘を発し、この幅広い状況を考慮に入れて2週間の審議に打ち込んでくれることを出席者に求めました。

 第105回総会はまた、議長として、南アフリカのミルドレッド・オリファント労働大臣、副議長としてパナマのラモン・アルベルト・モラレス・キハノ政府代表、コロンビアのアルベルト・エチャバリア使用者代表、ルワンダのエリック・マンジ労働者代表を選出しました。

 2週間の会期中に、第105回総会は、グローバル・サプライチェーン(世界的供給網)でディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を最もうまく促進する方法に関する一般討議を行い、雇用と仕事の創出を通じて危機に対応する際の手引きとなる「1944年の雇用(戦時より平時への過渡期)勧告(第71号)」の改正議題を検討し、2008年に採択された「公正なグローバル化のための社会正義に関するILO宣言」がこれまでにどのように促進・実行されてきたかを評価し、ディーセント・ワークをすべての人に実現するという目標を将来的に達成するためにこの適用を改善する方法について意見交換を行います。基準適用委員会では労働基準の見直し作業が続けられ、海上労働証書を巡る規則を変更し、船上における嫌がらせといじめに関する手引きを提供する形で2006年の海上の労働に関する条約規範部分の改正案、そして船員の身分証明書を近代化する形での2003年の船員の身分証明書条約(改正)(第185号)附属書の改正提案が投票に付されます。

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 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。

 グレッグ・バインズILO副事務局長(管理運営・改革担当)も、ILOのブログ「Work in progress(進行中の仕事)」への2016年5月26日付の投稿記事で、間もなく始まる今年の総会の議題内容を概説し、フェイスブックツイッター(ハッシュタグ#ILC2016)を通じて日々の動きを追えることを紹介しています。