ILO/IOE新刊

ILO/IOE新刊『企業向け児童労働手引きツール』:サプライチェーンにおける児童労働撤廃に取り組む使用者ら

記者発表 | 2015/12/15

 ILOと国際使用者連盟(IOE)はこのたび、児童労働に関する国際労働基準に沿って事業を行う企業の知識と能力の拡充に向けて、『How to do business with respect for childrens' right to be free from child labour: ILO-IOE child labour guidance tool for business(児童労働から自由であるべき子どもの権利を尊重しつつ事業を行う方法:ILO/IOE企業向け児童労働手引きツール・英語)』と題する新たな資料を発表しました。9月に採択された持続可能な開発目標のターゲットの一つとして、国際社会は2025年までにあらゆる形態の児童労働を撤廃することをめざしていますが、資料を作成したILOガバナンス・三者構成原則局のムサ・ウマル局長は、この使用者向けの包括的な手引きについて、「企業が自社サプライチェーン(供給網)における児童労働問題に取り組む上での貴重な資料となり、持続可能な開発目標の達成におけるその役割を強く促進すると確信している」と期待を寄せています。

 グローバル・サプライチェーンが児童労働の漸進的な撤廃に向けて前進するためにそのガバナンス(統治)、相当なる注意、是正手続きの向上を目指すこの資料の作成過程及び準備のための調査研究には、児童労働問題に取り組む国連グローバル・コンパクト参加団体の集まりである児童労働協議会に参加する飲食料メーカーからアパレル、鉱業部門の企業まで様々な企業が密接に関与しました。作成過程には、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」の生みの親であり、人権と多国籍企業及びその他の企業の問題に関する国連事務総長特別代表を務めたジョン・ラギー教授率いる非営利専門知識センターであるシフトも係わっています。手引きはグローバル・バリューチェーン(世界的な価値連鎖)を擁する多国籍企業または大企業、児童労働問題への取り組み強化を志しているバリューチェーン内の中小企業、潜在的な児童労働問題を抱えるコミュニティーと関わりがある企業に特に有用であると思われます。

 リンダ・クロムヨングIOE事務局長は、「専門家に主導された、実践的で思わず引き付けられるような資料を通じて、人権に関して企業が新たに期待されているものを使用者がより良く理解し、それに取り組む助けになる資料」を提出できたことを喜びとしています。

 2011年に国連人権理事会で全会一致で採択された「ビジネスと人権に関する指導原則」は、使用者が人権に関する相当なる注意のための確固とした経営システムを構築する際の青写真を提供しています。これは新たな法的義務を設けるものではなく、既にある国際文書が企業にとって持つ意味を明らかにすることを目指しています。児童労働の場合には、ILOの就業最低年齢に関する第138号条約最悪の形態の児童労働に関する第182号条約がこれに当たります。手引きが重要な理由と対象層について説明する導入部、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」が児童労働に関して企業に期待している内容を説明するB部、児童労働を防止し、その影響に取り組むために企業が講じ得る実践的な手立てを示すC部の3部構成となっている手引きは、指導原則を解釈して企業が自社サプライチェーンにおける児童労働問題に取り組む方法を具体的に示しています。

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 以上は就労に係わる基本的原則・権利部によるジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。