ILO新刊:国際移民デー

世界の移民労働者数-ILOの最新推計値は1億5,030万人

記者発表 | 2015/12/16

 「劣悪な条件の下にある移住並びに移民労働者の機会及び待遇の均等の促進に関する条約(ILO第143号条約)」の採択40周年に当たる2015年の国際移民デー(12月18日)を前に、ILOは世界全体及び地域別の移民労働者数の最新推計を示す新刊書を発表しました。『ILO global estimates of migrant workers and migrant domestic workers(移民労働者及び移民家事労働者のILOによる世界推計・英語)』は、世界全体で約2億660万人に上る15歳以上移民人口(生産年齢を下回る15歳未満の子どもを加えると約2億3,200万人)の72.7%に当たる1億5,030万人が移民労働者に相当することを示しています。この大半の8,370万人が男性です。

 移民労働者は世界中で見られますが、ほぼ半分(48.5%)が北米(全体の24.7%)と北・南・西欧(全体の23.8%)に集中しています。全労働者に占める移民労働者の割合が最も高いのはアラブ諸国で、35.6%に達しています(移民労働者地域別分布図へのリンク)。

 産業別に大別すると、大多数の移民労働者は第三次産業(全体の71.1%に相当する1億680万人)で働いており、次いで製造業や建設業などの第二次産業(17.8%相当2,670万人)、そして第一次産業(11.1%相当1,670万人)といった順番になっています。

 ガイ・ライダーILO事務局長は、「この分析は移民労働者を含むすべての労働者の保護に関する目標8や適切に管理された移住政策の実行を求める目標10の枠内におけるターゲットを中心に、加盟国による『持続可能な開発のための2030アジェンダ』への取り組みをILOが支援する上での重要な貢献を表すもの」として、「意思決定に携わる人々はようやく政策の基盤にできる現実的なデータが入手できるようになろう」と評しています。

移民と移民以外の性別労働力率グラフ(英語)へのリンク

 一般に移民労働者の方が自国民よりも労働力率が高くなる傾向がありますが、これは本質的に移民女性の割合の高さと関連しています。報告書は移民労働者の7.7%が従事する家事労働に焦点を当て、規制されていない場合が多く、女性が圧倒的多数を占め、様々な形態の差別の複合が見られるこの産業部門における移民労働者の存在の大きさに光を当てています。家事労働者は世界全体で6,710万人を数えると推計されますが、この17.2%に当たる1,150万人が移民労働者です。移民家事労働者の約73.4%に相当する850万人あまりが女性です。地域別で見ると、女性移民家事労働者全体の24%が東南アジア・太平洋で働いており、これに北・南・西欧(全体の22.1%)、アラブ諸国(全体の19%)が続いています。社会の高齢化その他の人口動勢・社会経済的変化に鑑みるとケアや家事サービスのニーズを満たすために今後も多数の家事労働者が国境を越える可能性が高いと考えられます。

移民と移民以外の地域別労働力率グラフ(英語)へのリンク

 「結果と方法論」を副題に掲げる本書は、第1部でこのような現状を示した上で、第2部で推計方法論を詳記しています。報告書は移民労働者を、国連が有する国際移民データを元に、現在居住している国で就労中であるか、失業中で仕事を探している移民と定義し、世界の生産年齢人口の99.8%に当たる世界176カ国・地域の2013年の受入数データを用いています。ILO統計局のラファエル・ディエス・デ・メディナ局長は、様々な点で人の移動が「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中心舞台に立っており、この動きを追うために世界はより多くのより良いデータや指標を必要とするであろうことを指摘して、この報告書について、「政策策定者を導く確固とした世界的な数値の探求における新たな基準を定めるもの」と評しています。労働条件・平等局のマヌエラ・トメイ局長は、「移民の相当多数がより良い就労機会を求めて移動することを本書は示した」として、この確固とした方法論の適用は、「人の移動に関する知識基盤を大幅に拡充し、効果的な移住政策策定のための強固な基盤を提供しよう」と期待を表明しました。

ミシェル・レイトンILO労働力移動部長が報告書の内容を3分で紹介(英語)

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 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。