親善大使:強制労働

ブラジル人俳優ワグネル・モウラが現代の奴隷労働撲滅に向けたキャンペーンにILO親善大使として参加

記者発表 | 2015/08/04
ワグネル・モウラ氏(© Bob Wolfenson)

 ILOはこのたび、現代の奴隷労働撲滅に向けた戦いにおけるILOの親善大使として、ブラジル人俳優ワグネル・モウラ氏の協力を仰ぐこととなりました。モウラ氏には既に2013年から児童労働の撲滅に向けた「児童労働へレッドカード・キャンペーン」の支持者としてご協力いただいてきましたが、今後は今年6月12日に開始された「1930年の強制労働条約(第29号)の2014年の議定書」について、2018年までに50カ国の批准達成を目指す「自由のための50カ国キャンペーン」をはじめとした幅広い広報提言活動に従事してもらうことになります。

 ホセ・マヌエル・サラサール=シリナチスILO中南米・カリブ総局長は、「今日の世界に奴隷労働が存在して良い場所は絶対にない」と断言した上で、世界全体で2,100万人と推定される強制労働被害者の内、180万人が存在するとされる中南米出身で、強制労働に反対する強い発言を繰り返してきたワグネル・モウラ氏の支援をこの問題に対する啓発活動において得られたことを「喜ばしい」としています。マルシア・ポーレILOコミュニケーション・広報局長は、人権活動家として定評があり、国内外での活躍著しいモウラ氏は強力な唱道者となり得る可能性を指摘し、世界中至る所で私たちの周囲に見られる現代の奴隷労働に終止符を打つ上で「私たちは誰でも自分の役割を演じることができるし、そうしなくてはならない」と説いた上で、モウラ氏の存在が若者を中心に人々とILOをつなげ、変化を起こす力を持った人々にメッセージを届ける助けになることへの期待を表明し、「この新しい役割の下、モウラ氏と協力し合えることにワクワクしている」と語っています。

 モウラ氏は既に何年も前から強制労働に対処する法律の成立に向けて国会議員や活動家と力を合わせてきた理由として、自身が育ったブラジルの田舎で「貧困がいかに過酷で搾取的な条件の下で働くことを人々に強いるか直接目撃した」ことを挙げ、現代の奴隷労働を「個人の権利に対する最もとんでもない攻撃」と非難し、社会正義の前進を使命とする国連の専門機関であるILOの親善大使に任命されたことを「多大なる栄誉」と語っています。そして、現代の奴隷労働撲滅に向けた戦いにおける新たな国際文書の必要性、各国がそれを一刻も早く批准する必要性を説いています。

 ブラジルで過去最高の興行成績を上げた「エリート・スクワッド2(2010年)」で主役を務めたモウラ氏の次の主演作は、米国のオンライン映像配信会社ネットフリックス社で8月から開始される連続番組「ナルコス」です。

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 以上はブラジリア発英文記者発表の抄訳です。