ILO新刊:中南米・カリブの若者のインフォーマル就労

ILO新刊:インフォーマル経済で働く中南米・カリブの若者は2,700万人

記者発表 | 2015/04/22

 若者の就業におけるインフォーマル性の問題に対処する政策について話し合うために4月22日にリマで開かれた中南米・カリブの政労使会合に提出された討議資料『Youth and informality. Promoting formal employment among youth: Innovative experiences in Latin America and the Caribbean(若者とインフォーマル性-若者のフォーマル就業の促進:中南米・カリブにおける革新的な経験・英語)』は、この地域ではインフォーマル経済で働く若者が少なくとも2,700万人に達すると推計しています。これには中小・零細企業などのインフォーマルな経済単位で働く人々に加え、フォーマル企業であっても実際上、労働法が適用されていないインフォーマルな労働者(いわゆる非正規雇用)が含まれます。こういった仕事は一般に劣悪な労働条件、低生産性、低賃金を特徴としています。

 討議資料は若者に得られる仕事の6割がインフォーマル経済におけるものであることに警鐘を発し、若者のフォーマル経済への移行を手助けする緊急の行動を呼びかけています。エリサベチ・ティノコILO中南米・カリブ総局長も、高失業と高インフォーマル性は機会不足に基づく就労意欲の喪失と欲求不満が高い状況をもたらすことを指摘して、各国特有のニーズに対処する政策の組み合わせをもってこの問題に取り組むべきことを訴えました。

 中南米・カリブでは15~24歳の青少年1億800万人のほぼ半分に相当する5,600万人が労働市場に参加しており、この13%に当たる700万人超が仕事を探しています。若者は地域の失業者全体の4割を占め、その失業率は25歳超層の失業率の3倍に達しています。農業外インフォーマル経済で働く人は就労者全体の47%に相当しますが、若者に限って見ると8ポイント以上も高い55.7%に達しています。このほとんどがインフォーマル企業における就業ですが、フォーマル企業で働く若者も32%がインフォーマルな労働者となっています。この他に、2,000万人以上が就労も就学も訓練受講もしていないニート状態にあります。

 討議資料はインフォーマル労働の問題に取り組むことができる分野として次の三つに光を当てています。

  • フォーマルな仕事の育成に向けた条件を形成する奨励金などの措置
  • インフォーマルな仕事や事業単位のフォーマル化を目指した事業
  • インフォーマルな労働者への社会的保護の適用を拡大する戦略

 6月1日にジュネーブで開幕する今年のILO総会ではインフォーマル経済からフォーマル経済への移行に関する勧告の採択に向けた話し合いが行われます。

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 以上はリマ発英文記者発表の抄訳です。