広報記事:ブラジルのフォーマル経済化

フォーマル就業に至る「シンプル」な道:ブラジルからの報告

 10月13~16日にリマで開かれる第18回ILO米州地域会議では、生産性とフォーマル就業を押し上げる手段としての雇用・社会的保護政策についての検討が行われます。中南米・カリブのインフォーマル就業率は2009年に49.9%でしたが、2011年に47.7%に低下しています。若者の場合は一層高く、15~24歳の若者就労者の10人中6人がインフォーマルな仕事に就いています。過去10年の経済成長速度が維持されたとしたら、インフォーマル就業率を半減させるには最大55年かかるとILOでは推計しています。

 税法や労働法の尊重の問題に加え、劣悪な労働条件や労使双方の社会的保護の欠如など、この経済に関連した多くの負の側面の存在を理由として、諸国政府はインフォーマル経済の規模の縮小に努めています。ブラジルではフォーマル就業者が10年で約14ポイント増えて2012年に56.6%に達しましたが、政府の施策がこの一助になったとされています。1996年に開始されたシンプル(SIMPLES)計画を引き継ぐものとして2007年7月に施行された零細・小企業一般法によって設けられたスーパーシンプル(SUPERSIMPLES)計画は減税と規則簡素化を通じた小企業振興策です。

 この計画の下、従来8種類あった諸税が一つにまとめられ、企業の税負担額は平均40%減少しました。起業手続きも非常に簡便になり、必要な書類は登録された生産用地を証明するものだけとなり、生産の場を零細事業主の自宅に置くことも認められるようになりました。2007年の制度発足以来、約900万の事業所がこの制度を利用し、2億6,700万レアル(約120億円)以上の税収が達成されました。2015年からは制度参加の唯一の条件が360万レアル(約1億6,000万円)の年商上限だけとなるため、ブラジル中小企業支援局(SEBRAE)はサービス部門の140を超える活動分野の小企業約45万社が制度に参加すると見ています。新たな規則の下では、一部の活動分野について商品及びサービスに対する税金の前払いが免除されます。

 最近出されたドイツ国際協力公社(GIZ)とILOの共同刊行物『Enterprise formalization: Fact or fiction? A quest for case studies(企業のフォーマル化は事実か虚構か? 事例探求・英語)』は、ブラジルの他、アルゼンチン、コロンビア、スリランカなどからこのようなインフォーマル企業のフォーマル化を通じたインフォーマル経済の規模縮小に向けた試みを紹介しています。

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 以上はブラジリア発英文広報記事の抄訳です。