バングラデシュ
法律遵守の確保に向けて踏み出す新人労働監督官/労働監督機関の格上げをILO歓迎
2013年4月に発生し、1,100人以上の衣料品工場労働者の命を奪ったラナプラザビル倒壊のような悲劇の再発を防ぐため、バングラデシュの政労使はILOの支援を受けて建物の完全性と火災に対する安全性に関する政労使国家行動計画に合意し、取り組みを進めていますが、政府は1月15日に出した命令で工場・事業所主任監督官事務所の人員を679人増やし、局に格上げすることを決定しました。これによって労働・工場監督官の数は現行の183人から一気に計575人になります。ILOはこれをバングラデシュ衣料産業の労働者の権利と安全性の向上に向けた大きな一歩ととらえ、今後3年以内に新人監督官の研修を行うことを含み、新設された局の能力開発に向けた詳細なプランを立案中です。2月9日現在、ILO国際研修センターの上級代表を加えたジュネーブ、バンコク、ニューデリーのILO専門家で構成される訪問団がダッカを訪れ、監督官や監督局長官と会合を持ち、詳しいニーズ評価を開始しています。ILOはカナダやオランダなど複数のドナーから任意資金協力を得て労働者の権利と労働条件、火災に対する安全性に関する複数のプロジェクト及び事業計画を実施していますが、新たな訓練活動はこの一環として行われる予定です。
法律遵守の確保に向けて踏み出す新人労働監督官
去る1月22~24日には新たに採用された41人の労働監督官の導入訓練がダッカで行われました。国家行動計画を支援するILOの事業計画「バングラデシュ既製服部門の労働条件改善プロジェクト」がバングラデシュ政府とドイツ政府の共同プロジェクトである「産業の社会・環境基準促進(PSES)計画」と共同で開催した研修コースでは、ILO及びPSES実施機関であるドイツ国際協力公社(GIZ)の専門家が講師となり、バングラデシュの経済及び法構造の枠組みの中での労働監督官の役割、ILOの定める「就労における基本的な権利と原則」、透明で信頼のおける労働監督制度のあり方、国内労働法、監督技術などについて新人監督官と話し合いを行いました。開講式で挨拶したILOバングラデシュ国別事務所のスリニバス・レディー所長は、新労働監督官の採用と現在進められている研修について、「既製服部門における将来の悲劇のリスクを減じる上での大きな里程標であり、労働基準の改善と国内法制の実行に向けた政府の公約の重要な履行」であるとして評価しました。
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以上はILOバングラデシュ国別事務所による次の2点のダッカ発英文記者発表の抄訳です。