ILO新刊:中南米の若者の就業

ILO新刊-失業とインフォーマル就業に悩まされる中南米の若者

記者発表 | 2014/02/13

 雇用創出を伴っている中南米の経済成長ですが、近年は失業とインフォーマル就業状態に捕らえられている若者の雇用展望を改善するのに十分な強さが見られません。このたび発表されたILOの新刊書『Trabajo decente y juventud en América Latina: Políticas para la acción(中南米のディーセント・ワークと若者:行動のための政策・西語)』は、2005~11年のデータを比較分析し、2011年末の若者(15~24歳)の失業率は約14%と、2005年の16.4%よりは低下したものの、依然として全体の2倍、25歳超層の3倍に当たり、地域全体で若者は失業者の43%を占め、特に低所得層の若者の失業率は25%を上回るなど、職探しが依然として非常に困難であり、良質の仕事の場合はなおさらそうであることを示しています。

 若者の10人中約6人までが労働法や社会保障の対象外にあるインフォーマルな就業形態にありますが、これは一般に低賃金、仕事の不安定性、保護や権利の欠如を伴っています。社会健康保険の保険料を支払っている若者はわずか37%、年金制度の場合は29.4%に留まります。雇用契約文書は25歳超層では61%に存在しますが、若者の場合には48.2%に過ぎません。特に懸念されるのは就労も就学も訓練受講もしていないニートの若者の多さで、約2,100万人に達しています。このうち約4分の1が仕事を探しているものの見つからず、女性を中心に1,200万人余りが家事を手伝っていますが、残りの460万人は手伝いも職探しもしていません。

 報告書は、若者の雇用問題に取り組むにはこの層のニーズに特に対応するよう設計された措置を講じる必要があるとし、◇学校から就労への移行を円滑化し、労働市場のニーズに対応した資格保有が達成されるための訓練・能力育成計画の改善及び拡張、◇契約締結のためのインセンティブや手続きの簡略化を通じて若者に利益が及ぶような雇用促進計画、◇労働者及び零細企業のようなフォーマル化を希望する主要な雇用創出源のフォーマル化に向けた戦略、◇若者の起業の促進及び円滑化など、域内各国で見られる革新的な事例を紹介しています。

 エリサベチ・ティノコILO中南米・カリブ総局長は、「機会の不足によって失望と欲求不満を抱える若者が街頭に繰り出すのも驚くことではない」として、これが社会の安定、ひいては民主的な統治にも影響を与える可能性を警告し、若者の潜在力をより良く活用し、若者が適切な足場に立って勤労生活を始める機会を提供するような適切な措置を講じることを呼びかけています。

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 以上はリマ発英文記者発表の抄訳です。