グリーン経済のグローバル・パートナーシップ

国連が主導する新たなグローバル・パートナーシップで2020年までに世界30カ国の経済グリーン化を支援

記者発表 | 2014/03/04

 ILOを含む国連4機関は2013年2月に、グリーン経済に関する政策と最善事例を実施する方法についての支援と訓練を求める各国の要求に応えるために新たに手を結びましたが、この「グリーン経済に関する行動のためのパートナーシップ(PAGE)」の初の世界会議が3月4~5日にアラブ首長国連邦のドゥバイで開かれ、クリーン技術や資源効率的な基盤構造、グリーン・スキルを備えた労働力、良好に機能する生態系、良い統治(ガバナンス)などの新世代資産に投資と政策を移行することを通じて自国経済の振興を志すブルキナファソ、ペルー、モーリシャス、モンゴル、セネガルなどの国々に計1,100万ドル以上の資金協力を行う公約がフィンランド、ノルウェー、韓国、スウェーデン、スイスといったドナー国から表明されたことが明らかになりました。PAGEが支援するこのような転換は社会、環境、経済の諸面で相当の利益を生むことが期待されます。持続可能性への経済的移行を支援することを約する国々から公約された資金はPAGEの下で活動を始動させるために用いられ、PAGEはこのような支援の対象国を2020年までに30カ国に増やすことを目指しています。

 世界会議には財務、経済、労働、貿易分野の各国大臣30人以上に加え、国連機関のハイレベル代表、国際的に活躍する専門家、企業・市民社会の代表が出席し、人間らしく働きがいのあるグリーン・ジョブ、財政政策と投資、グリーン産業政策、社会的包摂と貧困撲滅、貿易政策と貿易機会、包摂的なグリーン経済の指標及び測定基準といった幅広い事項について意見交換が行われています。会議で得られた各国のグリーン経済への道や政策の採用経験を元に、この移行を政府が加速できる方法に関する提言がまとめられる予定です。会議の成果は現在国連で進行中の2015年以降の開発課題に関する話し合いや今年6月にナイロビで開かれる第1回国連環境総会などの国際的な話し合いの場にも貢献することが期待されます。

 2012年6月にリオデジャネイロで開かれた国連持続可能な開発会議(リオ+20)の成果文書「私たちの求める未来」は、よりグリーンかつより包摂的な経済へと向かう各国の取り組みを支援する任務を国連に付託しましたが、PAGEはこの呼びかけに応えるものとして、ILO、国連環境計画(UNEP)、国連工業開発機関(UNIDO)、国連訓練調査研究所(UNITAR)の4機関で創設されました。このパートナーシップの下で、近々加わる予定の国連開発計画(UNDP)を加えた5機関は、各国が21世紀の高まる要求事項と課題に応えるために自国の経済構造を転換できるよう包括的な一連のグリーン経済関連サービスを提供することになっています。会議は持続可能な開発及び貧困撲滅を達成する道の一つとしてグリーン経済に関する各国の進展状況を評価するリオ+20以来の機会を政府その他の利害関係者に提供しています。

 PAGEを代表して挨拶に立ったアヒム・シュタイナーUNEP事務局長は、所得と雇用の成長を牽引するであろうものとして、「炭素排出量と公害を減らし、エネルギー効率及び資源効率を高め、種の多様性や生態系サービスの喪失を防止するような官民の投資」を挙げ、PAGEには各国が自国の開発優先事項に沿って環境リスクと生態系の枯渇を相当に減じつつ、人間の福祉と社会の公平性を改善するのを支援できる可能性があると語りました。ガイ・ライダーILO事務局長も、PAGEの提供できるものとして、人間らしく働きがいのあるグリーン・ジョブの新規創出支援に加え、男女を問わずすべての労働者が包摂的な低炭素経済へ移行する助けになるものとして必要な技能と支援が得られるよう確保することを挙げ、若者を中心になかなか失業問題が解消されない時代には、新たな形態の起業家精神や小企業の育成への投資が持続可能な本物の経済的利益をもたらし得ることを指摘しました。

* * *

 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。