産業別会合:運輸部門

都市交通サービスにおける持続可能なディーセント・ワークの未来技術会合

会議広報動画(英語・1分44秒)

 当初2020年に予定されていたこの会合には、労使代表各8人、関心を示す全ての政府が参加して、将来の行動のための提案を含む結論の採択を目指し、都市旅客運送業の運営とサービスにおける持続可能なディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の未来に関連した課題とその解決策について討議を行います。

 都市旅客運送機関による移動性の確保は、都市の機能と包摂的な開発の基本条件の一つであり、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が定める持続可能な開発目標(SDGs)の多くの達成を円滑化できる可能性があります。バスや電車、地下鉄などの大量輸送の公共交通機関に加え、国によっては乗合タクシーやミニバスのような非公式(インフォーマル)な運送業の方が普及している場合があります。2009年の推計によれば、公式(フォーマル)都市旅客運送サービス会社の雇用者数は世界全体で730万人、公共交通機関を管轄する公的機関の職員は約30万人となっています。アフリカや中南米では都市旅客運送業の就業者全体の3~4割がインフォーマル就労であるとみられます。騒音や大気汚染、交通渋滞などの有害な影響にさらされている都市旅客運送業の労働者はストレスや筋骨格障害など一連の労働関連健康リスクに直面しています。暴力やハラスメントを経験する可能性もあります。多くの国で運転手には労働時間規制が適用されず、パートタイムや交替勤務も多く、不規則な就労形態は労働者の健康や安全、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)、道路上における安全に影響を与える可能性があります。インフォーマルな就労者の場合は、実効的な社会対話の欠如や社会的保護におけるギャップの存在が指摘されています。

 技術革新やグローバル化などの地球規模で進行する大規模な変化は都市旅客運送業にも変化をもたらしており、この部門の再生に道を開く可能性があるものとして、雇用や労働条件、労働市場、技能に相当の変容をもたらす革新的な取り組みを挙げることができます。この産業部門の役割を利用者、事業者、労働者、管轄機関の全てに利するような形で変えるカギを握るのは、社会対話、パートナーシップ、統合、統治の枠組みであると言えます。

討議資料の内容を専門家が紹介(英語・9分34秒)

 討議のたたき台となる報告書は、第1部-都市旅客運送業、第2部-仕事の世界における変革的変化の推進要素、第3部-持続可能なディーセント・ワークの3部構成を取り、都市旅客運送業の状況を簡潔に記しています。第1部で、都市旅客運送業の性質、構造、経済状況を分析し、地球規模の雇用関連データを示し、道路の安全性や平等なアクセスなど、社会的排除を克服し、雇用機会を通じて女性に力を付け、脆弱な集団の暮らしを改善する上で根本的な役割を演じている都市旅客運送に関連した世界的な問題に光を当てています。第2部では、この産業部門の仕事の未来に関する討議を行う上で理解する必要がある事項として、技術革新、人口構造の変化や都市化の影響、気候変動、グローバル化といった地球規模で進行する大規模な傾向に関する情報が含まれています。第3部では、第1部と第2部の情報を背景として、雇用、社会的保護、社会対話、国際労働基準と就労に関わる基本的な原則と権利といった、全ての人にディーセント・ワークを達成することを目指す取り組みの四つの柱に沿って都市旅客運送業の労働面を論じています。付録資料として幾つかの都市の都市交通の主要形態や新型コロナウイルスの都市旅客運送業に対する影響に関する概説資料なども掲載されています。


詳しくは会議のウェブサイト(英語)へ---->
都市交通サービスにおける持続可能なディーセント・ワークの未来技術会合