産業別会議

スポーツの世界におけるディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)グローバル対話フォーラム

 20世紀半ばからプロスポーツは巨大な産業と化し、関連部門で働く人は数百万人に上ります。最近の市場調査ではスポーツ用品製造を除くスポーツ産業の市場規模は世界全体で6,140億ドルと見積もられています。近年、オリンピックやワールドカップなどの大型イベントを中心にスポーツイベントの労働・人権の側面が注目を集めるようになってきています。脚光を浴びているのは主として競技会場の建設工事やスポーツ用品の製造、スポーツイベントが周辺共同体に与える影響といったものですが、プロスポーツ選手の人権や労働者としての権利にも注意が寄せられるようになってきています。

 労使代表各8人に加え、関心のある全ての政府代表が出席するこのフォーラムでは、スポーツ界におけるディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の促進に関連した様々な問題を話し合うことによってILO及び加盟国の今後の活動に対する提案などを含む合意点の採択を目指します。

 ILOとスポーツ界との関わりはアルベール・トーマILO初代事務局長と近代オリンピックの父ピエール・ド・クーベルタンが労働者の余暇におけるスポーツの重要性を話し合った1921年に遡り、それ以後、労働者のためのスポーツやスポーツ施設を促進する基準が幾つか採択されています。2018年にはILOと公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(東京2020組織委員会)との間で、2020年に開かれる東京オリンピック・パラリンピック競技大会の準備・運営過程でディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を促進する合意書が締結されていますが、選手の労働条件を特に扱った基準は存在しません。

 会議資料として事務局が準備した論点文書は、就労に関わる基本的な原則と権利、雇用条件、社会的保護、技能開発、国際基準といった側面からプロスポーツ選手を取り巻く状況を簡潔にまとめています。プロスポーツ選手の就労は民法と労働法の狭間という特殊な位置にあり、契約から競技ルールに至るまで運動選手に関連した事項の多くがスポーツ連盟のルールによって司られ、国内法とは異なるところで動いているように認識されることが多いものの、この例外性に挑み、労働法や行政法、民法を通じた問題の処理を求める選手が増えてきています。個人競技を中心にスポーツ選手は時に独立請負人と見なされるものの、野球やサッカーなど幾つかの競技には労働組合や選手団体があり、米国のように労働協約が一般的な国もあります。児童労働や強制労働、賃金格差などの男女差別、労働安全衛生や暴力、引退後の雇用など、プロスポーツ選手を取り巻く問題は多岐にわたります。社会的保護は選手の生活と雇用において重要な役割を演じています。


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スポーツの世界におけるディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)グローバル対話フォーラム