産業別会議

運輸部門における道路の安全性とディーセント・ワークの促進に関する指針採択に向けた専門家会議

 道路輸送は経済開発のためには不可欠であり、国や地域を越えた貨客移動を確保する手段です。経済成長や雇用創出に対しても重要な貢献を行っており、道路基盤構造への投資やその運営は他の経済部門にも大きな影響を与えています。

 その一方で、毎年、道路上の事故によって命を失う人の数は世界全体で約130万人に達し、負傷者も最大5,000万人に上ります。道路上の衝突事故全体のおおよそ10~22%程度に商用車が関係しています。世界全体で見ると、交通事故による負傷は死亡原因の第8位に位置し、5~29歳の年齢層では道路交通事故が死亡原因のトップになっています。人的被害に加え、道路上における死傷事故は社会や経済、そして金銭的にも大きな損失をもたらします。2030年までに道路交通事故による死傷者数を半分に減らすというターゲット3.6を始め、持続可能な開発目標(SDGs)の中にも道路の安全性に関する目標が複数含まれています。

 ILOは1938年から複数の委員会や会合で道路輸送に携わる運転者の労働条件や道路の安全性に関する様々な事項を検討してきました。2015年に開かれた「道路輸送部門の安全衛生三者構成部門別会議」で採択された道路輸送の安全性についての最善事例に関する決議で、地域社会と道路輸送労働者の健康・安全に対するあらゆる危害からの保護、事故予防、安全で公正な報酬の促進を目的として、道路輸送の安全性に関する最善事例についての実務規程もしくは指針を策定し、採択する政労使三者構成の専門家会議を適当な時期に開催するよう求められたことを受けて開かれるこの会議では、政府、使用者、労働者各側8人の専門家が出席し、運輸部門における道路の安全性とディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の促進に関する指針の採択を目指して検討が行われます。

 グローバル化、貿易自由化、電子商取引の普及は道路輸送部門に対する需要と雇用機会の増加をもたらしています。これは貨客移動の効率化につながる場合もあれば、多くの運輸労働者の労働条件に否定的な影響を与える結果にもなっています。貨物輸送産業の大半がオーナー事業者と中小企業で占められており、労働者の立場は弱く、しばしば車両関連コストの自己負担を強いられ、社会対話に参加する機会や社会的保護などを享受する機会も限られています。運輸労働者が安全性を欠く危険な運転行為を行う原因の根底にはサプライチェーン(供給網)行動主体からのプレッシャーもあります。国によっては運転者の高齢化が見られ、経験豊富な労働者が引退し、若く経験の浅い運転者が流入する状況があるため、適正な訓練を確保する必要もあります。この産業の男女構成は非常に不均衡で、したがって女性の声が無視される傾向があります。

 事務局が準備した指針案は3部構成を取り、第1部でこのような産業の考慮事項や定義などを挙げた後、第2部で就労に関わる基本的な原則と権利、雇用、労働条件、労働安全衛生、社会保障及び業務災害からの保護の五つの側面からディーセント・ワークと道路の安全性を促進するための原則を示した上で、第3部で社会対話と政労使三者構成原則、公正な人材斡旋・募集と持続可能な調達・請負実務、訓練と専門職業化、モニタリングと評価の四つの行動手段ごとに具体的な取り組みを挙げています。資料として、セクシュアル・ハラスメント(性的嫌がらせ)ポリシーの見本も添付されています。


詳しくは会議のウェブサイト(英語)へ---->
運輸部門における道路の安全性とディーセント・ワークの促進に関する指針採択に向けた専門家会議