地域会議

第19回米州地域会議

 ILOの地域会議は、アジア太平洋、米州、アフリカ、欧州の順で、原則として年に1つずつ、4年に一度の間隔で開催されています。北米、中南米、カリブ海地域のILO加盟国35カ国から政府及び労使団体の代表が出席して開かれる第19回米州地域会議では、2014年に開かれた第18回会議以降の4年間に「全ての人のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現」を目指すディーセント・ワーク課題に関して域内諸国で達成された歩みを振り返ると共に、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に照らし合わせて、将来的により多くのより良い仕事を伴う、より持続的かつ包摂的で持続可能な成長パターンを達成するためにこの地域が直面している主な課題についての話し合いが行われます。2018年3月に開かれた第332回理事会で承認され、今年の第107回ILO総会で確認された新しい地域会議議事規則が初めて適用されるであり、従来正式参加が認められていた、域内に非本土地域を有するフランス、オランダ、英国といった域外諸国は今回から投票権のないオブザーバー参加となります。

 討議のたたき台として準備された事務局長報告は、「我々が望む米州における仕事の未来を社会対話を通じて準備」と題し、第1部で米州地域の経済・雇用動向、労働者の権利、社会対話、統治形態を巡るこの4年間の動きを概説した後、望ましい仕事の未来を準備するための方策を提案しています。第2部では、第18回会議で採択されたリマ宣言をフォローアップするものとして、ILOが中南米・カリブで実施した主な活動が記されています。この地域は2013年に始まった景気後退からようやく抜け出しつつありますが、ディーセント・ワークに至る道を形成するにはまだ不十分です。2,600万人の失業者に加え、少なくとも1億3,300万人の非公式(インフォーマル)経済従事者も存在するといったように構造的な問題を考慮する必要もあります。中南米・カリブ地域はまた、労働基準に関わる課題も抱えており、国内法制の実効性と実施の問題に直面した域内諸国はそろって法改正に乗り出しています。20世紀から引き継いだ問題が解決しないうちに、仕事の世界の大きな変化という21世紀の新たな課題に直面することになっています。望ましい仕事の未来を達成するための道のりは複雑ですが、事務局長は、調整努力に焦点を当てたより多くのより良い仕事を伴う持続可能で包摂的な成長の達成、インフォーマル経済従事者のフォーマル化、平等と社会正義を促進する政策など、より包摂的な成長、より多くの社会正義、生産的な雇用とすべての人のディーセント・ワークを伴ったより豊かで公平な未来を達成するために必要な行動の道筋を示しています。

 会期中には、1)より多くのより良い人間らしく働きがいのある仕事を伴う持続的で包摂的な成長に向けた持続可能で生産的な開発のための政策、2)インフォーマル経済からフォーマル経済への移行を促進し、ますます加速する技術変革や多様な就労形態に対応するための政策、3)社会保障などの仕事の世界の制度機構を強化・再設計し、労働組合と労働者の権利の十分な支持を確保するための措置及び政策、4)デジタル経済と労働者の技能・職能の四つのテーマに分けて仕事の未来を巡る討議が行われます。さらに、1)「多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言」の米州における促進と適用、2)「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の枠内での児童労働の撤廃に関わる進展と課題、3)同じく「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の枠内での賃金格差その他の男女間格差の縮小における進展と課題、のそれぞれに関する説明会も開かれます。説明会1の資料として、2017年に改定された多国籍企業宣言に含まれる地域別フォローアップの仕組みに基づいてまとめられた初の報告書が作成され、米州における宣言諸原則の促進状況や外国直接投資の動向などが記されています。


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第19回米州地域会議

写真で振り返る米州におけるILO100年の軌跡(英/西語・13分45秒)

会議関連資料(英語)

関連広報資料

参考資料