ILO統治機構

第326回理事会

 年3回開かれる理事会の定期会合。政府側28人、労使各側14人の計56人の正理事と、政府側28人、労使各側19人の計66人の副理事で構成。議題は以下の分野別部会に分けて審議されました。

  • 結社の自由委員会報告や事務局長報告などの報告事項、憲章上の義務を含む国際労働機関及び事務局の機能に係わる事項、緊急の問題などを処理する制度機構部会
  • 雇用・社会的保護部門、多国籍企業部門、社会対話・労使関係部門、開発協力部門の4分野から成る政策開発部会
  • 法務部門と国際労働基準・人権部門の2分野から成る法務・国際労働基準部会
  • 計画・財政・管理部門、人事部門、監査・監督部門の3分野から成る計画・財政・管理部会
  • グローバル化の社会的側面作業部会など、戦略的に重要な事項に関する話し合いの場として必要に応じて開催されるハイレベル部会
  • 2008年の総会で採択された「公正なグローバル化のための社会正義に関するILO宣言」に基づき理事会・総会の機能改善を検討する場として当面開催される理事会・総会機能作業部会

 今会期では、グアテマラフィジーカタールベネズエラなどの条約適用における問題、2013年の第102回ILO総会で採択されたミャンマーに関する決議のフォローアップディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)と包摂的で持続可能な成長「アフリカ系の人々のための国際の10年(2015~24年)」へのILOの関与ILOの男女平等行動計画(2010~15年)の独立評価結果と2016~17年行動計画の大筋、「包摂的な成長と若者の雇用展望の改善に向けたより多くのより良い仕事(成果目標1)」や「公正で実効性のある労働力移動政策の促進(成果目標9)」などの2016/17年事業計画の成果目標、部門別会合・専門家会議など各種会議の形式と議事規則の見直し「多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言」の改正案理事会規則集の改正ILO総会労使代表及び労使理事の自国機関との関わりにおける保護、ILOの情報技術戦略知識戦略人材戦略などの事務局運営関連事項、2016~17年の産業部門別の活動提案など幅広い議題が審議され、2019年の創立100周年に向けて設けられた七つの記念事業の一つである企業イニシアチブ官民パートナーシップの進展状況、昨年末に開かれた第13回アフリカ地域会議や今年2月に開かれた基準見直し機構三者構成作業部会第1回会合、基準イニシアチブの下でまとめられた各種基準適用監視機構の相互関係、機能、可能な改善点に関する条約勧告適用専門家委員会と結社の自由委員長との共同報告、教職員の長時間労働と公立学校の臨時任用の問題を提起する全日本教職員組合(全教)から出された申し立てを審議したILO/国連教育科学文化機関(ユネスコ)教職員勧告適用合同専門家委員会(CEART)の中間報告などの報告書が提出されました。

 第326回理事会では複数国の労働者の権利侵害の問題が取り上げられました。2013年の第102回ILO総会の複数の労働者代表から1948年の結社の自由及び団結権保護条約(第87号)の適用状況に関する苦情が申し立てられていたフィジーに関しては、2016年1月に行われたILOの政労使訪問団の報告書が理事会に提出されました。数年にわたる紆余屈折の末、結社の自由、社会対話、団体交渉を確立する労働法制の抜本的な変更が報告され、理事会は苦情審査手続きの終結を決定しました。

 2015年の第104回ILO総会の複数の使用者代表から第87号条約に加え、1928年の最低賃金決定制度条約(第26号)及び1976年の三者の間の協議(国際労働基準)条約(第144号)の適用状況に関する苦情が申し立てられているベネズエラに関しては、国際労働組合総連合(ITUC)と労働者グループも一緒になって社会対話の再開が呼びかけられ、その約束がなされたため、苦情を審査する委員会を設置するか否かの判断は11月の次期理事会に持ち越しになりました。労働組合指導者の殺害や結社の自由の深刻な侵害が見られ、2012年の第101回ILO総会の複数の労働者代表から第87号条約の適用状況に関する苦情が申し立てられているグアテマラについても、新任の労働大臣から2年前にILOと政府の間で合意された行動計画と行程表に立ち返るとの約束が表明されたため、審査委員会の設置に関する判断は同じく11月に先送りになりました。

 170万人の外国人労働者がカファーラ制度(後見人制度)の下で、雇い主を変えることもままならず、使用者に完全に従属した状態にあるとして、2014年の第103回ILO総会の複数の労働者代表から1930年の強制労働条約(第29号)と1947年の労働監督条約(第81号)の適用状況に関する苦情が申し立てられているカタールについては、2016年3月に理事会の議長・副議長が同国を訪れ、実態調査を行いました。調査報告は2016年12月に施行予定の新法によって進展が見込まれることを記してはいるものの、家事労働者の場合を中心に多くの問題が残ると懸念されるため、2016年11月、2017年3月の理事会で審議されるべきフォローアップ報告を政府に求め、審査委員会の設置を回避できるほどの進展が見られるか評価することになりました。

 ミャンマーについては、強制労働の撤廃及び結社の自由の促進を含むILOと同国との今後の関わりの枠組みを2016年秋に開かれる第328回理事会に提出することや覚書や補足覚書、関連する行動計画などの継続的な機能を確保するために必要な行動を取ることを決定しました。

 理事会はまた、ガイ・ライダー現ILO事務局長の任期が2017年9月末で切れることを受け、新たな事務局長任命のための手続きを開始することとしました。2016年7月15日を締切日とする立候補の届け出開始を通知する書簡を2016年4月18日に発出し、2016年10月31日に候補者の面接を行い、2016年11月7日に選挙を行うというスケジュールを決定しました。

 3月21日にはピーター・サザーランド国際移住・開発担当国連事務総長特別代表やウィリアム・スウィング国際移住機関(IOM)事務局長などの参加を得て、「難民その他の移転を強いられた人々が労働市場に与える影響」と題するパネル討議が開かれました。討議では、世界的に影響が広がっているこの問題について幅広い意見交換が行われ、労働市場への影響や許容できない労働形態への取り組みなど、その付託された任務の枠内での対応をILOに求める声が強かったものの、帰還後の難民等の生活安定のためにも「ディーセント・ワークの機会」を必要な対応の重要な要素とすべきとの合意が達成され、問題の検討をさらに続けることが提案されました。


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