ILO統治機構

第323回理事会

 年3回開かれる理事会の定期会合。政府側28人、労使各側14人の計56人の正理事と、政府側28人、労使各側19人の計66人の副理事で構成。議題は以下の分野別部会に分けて審議されました。

 今会期ではスト権や脆弱な労働者の保護など、様々な重要な問題が審議されました。1948年の結社の自由及び団結権保護条約(第87号)にスト権が含まれるか否かで2012年以降労使が対立し、これを同条約の一部と主張する労働者側グループは本件を国際司法裁判所に付託して決着を図ることさえ提案していましたが、2月に開かれた第87号条約に関する三者会合の直前に労使で合意が達成され、使用者側は案件ごとにスト権を認めることに同意しました。政府側はこれを結社の自由に関連した権利と見なし、これが保護されなくては労働者の利益の促進・保護を目的とした活動を組織する権利は完全に実現されないと認めつつも、絶対的な権利ではなく、その範囲と条件は各国で規制されるとしています。この結果、結社の自由委員会も今会期では、スト権に関する複数の案件について再び全員一致の結論を出すことができました。理事会は会合の成果を受け、当面、この問題を国際司法裁判所に付託しないことや6月の第104回総会における基準適用委員会の実効的な機能を確保するのに必要な措置を講じること、基準見直しメカニズムの下に政労使三者構成の作業部会を設置すること、条約勧告適用専門会委員会と結社の自由委員会の両委員長にILOの様々な基準適用監視手続きの相互関係、機能、改善の可能性に関する共同報告の作成を求めることなどを決定しました。

 労働組合の活動が深刻に阻害されてきた、フィジーでは、法及び実務における結社の自由その他の国際労働基準の国内適用の確立を目指し、理事会会期中に政府、使用者、労働者の三者合意が達成されました。同国については、憲章第26条に基づく苦情が申し立てられていますが、理事会は合意内容の共同実施報告を6月の理事会に提出することを政労使に求めると共に、申立内容を審査する委員会を設置するか否かの問題の検討を11月の理事会に先送りすることに決定しました。

 事務局長から出された2016/17年の事業計画・予算原案については、幅広い議論の結果、最終的に現行年度から名目ゼロ成長の予算案について合意が達成され、6月に開かれる第104回総会に提出されることになりました。

 ハイレベル部会では雇用及び社会に係わる世界的な課題の新たな動向とILOの役割に関する討議が行われました。その一環として、3月23日にはアミーナ・モハメッド国連事務総長特別顧問(ポスト2015年開発アジェンダ担当)とトルコのファルク・チェリク労働・社会保障大臣の講演が行われました。モハメッド特別顧問は2015年以降の開発課題を巡る最新の動きを報告し、チェリク大臣は主要20カ国・地域(G20)の2015年会合の議長国であるトルコが何を会合の焦点とする予定であるか説明を行いました。モハメッド特別顧問はまた、すべての人にディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)が達成されることを目指すILOのディーセント・ワーク課題がこの2015年以降の開発課題の中で顕著な位置を占めつつあることを紹介し、実体経済を代表する労働者と使用者が構成員に含まれるILOの仕組みが課題の実行に果たすであろう役割に対する期待を表明しました。その上で、ILOを含む個々の国連機関が持続可能な開発に対する総合的な取り組みを支援するという目的にふさわしいものとなることの重要性を強調しました。

 今会期では他に、2012年のILO総会で採択されたミャンマーに関する決議のフォローアップ許容できない労働形態からの労働者の保護社会的保護の土台の構築と拡大といった活動重点分野、カタールの強制労働条約(第29号)及び労働監督条約(第81号)の適用における問題など幅広い議題が審議され、2月に開かれた非標準的雇用形態専門家会議船員の身分証明書条約(改正)(第185号)専門家会議労働安全衛生分野における国際標準化機構(ISO)との関係を巡る動向コートジボワールの政情不安のために2005年からエチオピアに一時的に移転していたアフリカ総局のアビジャン帰還に向けた手続きの開始などに関する報告が提出されました。


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第323回理事会