化学物質の使用上の安全

2014年労働安全衛生世界デー

 ILOは2003年から4月28日を労働安全衛生世界デーと定め、労働災害と職業病における予防の重要性に注意を喚起する日としています。今年の世界デーは「職場における化学物質の使用上の安全と健康」をテーマとして、化学物質が働く人々や職場、地域社会、環境に提示する潜在的な危険を予防し管理する方法に光を当てています。この日に合わせて作成された報告書(英語)は、化学物質の使用を巡る現状と職場や環境に対するその影響をまとめ、化学物質条約(第170号)などのILOの基準を参考にして職場における化学物質の健全な管理に役立つ計画を立案するための手引きを示しています。「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)」などの国際的な取り組みに関する説明も含まれています。

 殺虫剤や医薬品から洗浄剤に至るまで、化学物質は私たちの健康な暮らしと現在達成されている便利さの鍵を握っています。しかし、健康に対する危害を呈したり、環境汚染源になるなど、化学物質には様々な危険が潜んでおり、そのしっかりとした管理は常に課題となってきました。有害な暴露を防止する戦略は個々の化学物質に焦点を当てる傾向がありますが、実際にはほとんどの労働者が混合物に暴露しているため、防止計画を効果的なものにするには混合暴露の管理が決定的に重要です。また、20年前の暴露と現在発症しているがんとのつながりを確立する作業は情報不足に阻まれており、したがって暴露結果の記録を改善する必要もあります。職場で化学物質をしっかりと管理し、環境を保護するには、存在する化学物質を特定した後、使用方法や暴露による影響を評価した上で、管理方法を特定してそれを実行するといった3段階の戦略が求められ、そのような戦略・政策の開発・実行においては、政府、使用者、労働者、そして労使団体といった、すべての関係者による協力が望まれます。報告書は化学物質の製造と使用に係わる安全、健康、環境の諸面を同時に取り上げた包括的な政策・戦略を求めています。

 世界デーに際して発表した声明において、ガイ・ライダーILO事務局長は、化学物質の重要性と潜在的な危険に注意を喚起した上で、職場における化学物質の使用に係わる危険及び職業上の危害を防止・管理する手引きを提供するILO基準やしっかりとした化学物質管理戦略を構築する上で参考になる数多くの実際的な経験の存在を指摘して、職場にプラスの違いをもたらすために各自ができることに焦点を当て、安全で健康的な作業環境を享受できる全ての労働者の権利を保護することによって人間の尊厳と仕事の尊厳を尊重するディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)戦略に向けて尽力しようと呼びかけました。

 世界デーに合わせて、ポスター絵はがき、報告書の内容をまとめたパワーポイント資料も作成されています(すべて英語)。ダウンロードして自由にご利用下さい。


詳しくは世界デーの英語ウェブページへ---->