児童労働


2021年は国連の定める児童労働撤廃国際年です。

ILOの取組み

ILOは、条約の設定と技術協力プログラムの実施という2本の柱で、児童労働問題に取り組んでいます。

ILO条約については、1919年のILO設立当初から、工業、農業、漁業、鉱山など産業部門別に就業最低年齢を定めた国際基準の設定に取り組んできました。そして、1973年には、全産業を対象とする就業最低年齢を定めた第138号条約を採択しました。さらに、1999年には、「最悪の形態の児童労働」をなくすための取組みを直ちに始めることを定めた第182号条約を採択しました。

ILOは、1992年より開始された技術協力プログラム「児童労働撤廃国際計画(IPEC)」を通して児童労働問題に取り組んできました。「最悪の形態の児童労働」の撤廃に重点を置きながら、最終的にはすべての児童労働をなくすことを目標とし、その活動は、政府、労働者団体、使用者団体、NGO、学校、メディアなど、多くの関係者のパートナーシップのもとで実施されてきました。2015年より、強制労働撤廃も含むIPEC+(児童労働・強制労働撤廃国際計画)として、持続可能な開発目標ターゲット8.7に沿って、2025年までに児童労働、また2030年までに強制労働を根絶させることを目指して活動しています。IPEC+についてILO本部のHP(英語)は、こちらより。 

児童労働の現状(2017年)

  • 世界には、2億1800万人の働いている子どもたち(5~17歳)がいます。そのうち、1億5200万人が児童労働者であり、およそ半数の7300万人が危険有害な仕事をしています。男女別:男子8800万人/女子6400万人
  • 児童労働者の数を地域別に見ると、アフリカ地域に約半数の7210万人、アジア太平洋地域に6210万人、アメリカ地域に1070万人、アラブ地域に120万人、ヨーロッパ・中央アジア地域に550万人存在します。
  • 児童労働者の割合を地域別に見ると、アフリカでは5人に1人(19.6%)で、その他、アラブ地域は3~9%(2.9%)(35人に1人)、ヨーロッパ・中央アジアは4.1%(25人に1人)。アメリカ地域は5.3%(19人に1人)、そしてアジア太平洋地域は7.4%(14人に1人)となっています。
  • 1億5200万人の児童労働者のおよそ半数は5歳~11歳の子どもたちです。4200万人(28%)が12~14歳、3700万人(24%)が15~17歳です。
  • 危険有害労働の従事者の多くは、15~17歳の子どもたちです。しかし、全体の4分の1(1900万)は、12歳未満の子どもたちです。
  • 1億5200万人の児童労働者の男女別の割合は、男子が8800万人、女子が6400万人です。
  • 児童労働者全体に占める男子の割合は58%であり、また危険有害労働の従事者のうち、62%は男子です。男子は女子に比べ、危険性が高い児童労働に従事しているように思われますが、それは女子が従事する仕事、特に家事労働などの報告数が少ないことが影響しているのかもしれません。
  • 児童労働は農業部門に集中しています。(71%)その中には漁業、林業、畜産、水産養殖が含まれ、自給用と商業農業があります。次に、サービス業(17%)、鉱業を含む工業(12%)が続きます。
出典:"Global Estimates of Child Labour: Results and Trends 2012-2016/(児童労働に関する最新報告書『児童労働の世界推計:推計結果と趨勢 2012~16年(日本語訳) 』) "(2017)
ILO本部サイト [Facts and figures] 》 こちら

児童労働者数(黄)と児童労働による危険有害労働者数(赤)の2000年以降の推移と2025年までの予測 


児童労働の原因

世界中で、多くの子どもたちが児童労働に陥る原因としては、以下のようなものが挙げられます。
  • 貧困
  • 教育機会の欠如(近くに通える学校がない、通学手段がない、制服代・文房具代・昼食代を払えない、不十分なカリキュラム、教員の不足、親が教育を受けていないため子どもを学校に通わせようとしない、など)
  • 児童労働を当然視する地域社会、また無関心
  • 差別
  • 武力紛争や自然災害、HIV/エイズなどによる社会の混乱(子ども兵士、孤児、など)
  • 農村部から都市への移住によるスラム化
  • 不適切な法律の施行、など

最悪の形態の児童労働とは


児童労働の中でも「最悪の形態の児童労働」は、ILOの182号条約(1999年)によって、以下のように定められています。第182号条約はこちら
  1. 人身売買、徴兵を含む強制労働、債務労働などの奴隷労働
  2. 売春、ポルノ製造、わいせつな演技に使用、斡旋、提供
  3. 薬物の生産・取引など不正な活動に使用、斡旋、提供
  4. 児童の健康、安全、道徳を害するおそれのある労働
SDGs 8.7 において、18歳未満の児童による最悪の形態の児童労働を2025年までに撲滅することをめざしています。


児童による危険有害労働とは


最悪の形態の児童労働の一つで、第182号条約の第3条(d)項により、「児童の健康、安全もしくは道徳を害するおそれのある性質を有する業務又はそのようなおそれのある状況下で行われる業務」と規定されています。

児童による危険有害労働は、最悪の形態の児童労働の中で最多数を占め、2016年時点では、世界で7200万人を超える子どもたち(5~17歳)が、農業、工業、建設、製造業、サービス業、ホテル・飲食業、家事労働、などの危険有害業務で働いていたとされています。
2016年時点  5-14歳:1億1000万人、15-17歳:3700万人
危険有害労働、5-14歳:3500万人、15-17歳:3700万人




なお、各国政府が、禁止すべき児童による危険有害業務の種類を決定するにあたっては、関係のある使用者団体及び労働者団体と協議した上で、特にILOの第190号勧告(1999年)第3項の規定(以下a ~e)を考慮し、国内法令又は権限のある機関によって決めることとされています。
(a) 肉体的、心理的または性的な虐待
(b) 坑内、水中、危険な高所又は限られた空間
(c) 危険な機械等の使用、重い荷物の運搬
(d) 危険有害な物質、熱、騒音、振動等、不健康な環境
(e) 長時間労働、夜間労働、外出の不当な制限等、困難な条件