児童労働



今年の「児童労働反対世界デー」は、2021年の「児童労働撤廃国際年」に向けた行動に焦点を当てています。今年は、ILOの「最悪の形態の児童労働に関する条約」(第182号、1999年)が全加盟国により批准されてから初めての世界デーであり、COVID-19の危機によって長年の児童労働問題への取り組みの進展が逆戻りする恐れがある中での開催となります。

6月の世界デーには、ILOとユニセフがアライアンス8.7の支援の下、児童労働に関する新たな世界推計値と傾向(2016-2020年)を発表しました。イベントの模様は動画で視聴できます。

この報告書には、COVID-19の大流行とそれに伴う未曾有の経済危機によって、児童労働の撲滅に向けた進展のペースがどのような影響を受ける可能性があるかについての評価について述べています。ILO/UNICEF発表:児童労働:2020年の世界推計、動向、前途 - (概要・日本語)

今年の世界デーでは、児童労働に関する新しい世界推計値の発表を皮切りに、6月12日前後に「行動週間」を推進します。この週に実施されるイベントや活動は、パートナーが2021年のアクション・プレッジ(行動の誓い)の実行状況を紹介する機会となります。地域、国、組織のステークホルダーや個人が行ったすべてのプレッジは、「2021年国際年」のウェブサイトで紹介されます。

2021年、国際社会は、アルゼンチンで開催された前回の児童労働世界会議から4年が経過し、2025年までに児童労働をなくすことを定めたSDGsの目標8.7の達成までにあと4年という中間点に立っています。今年の世界デーと、この一年の取組みは、次の節目である2022年の児童労働世界会議(南アフリカ政府主催)に貢献するのです。

ILOの取組み

ILOは、条約の設定と技術協力プログラムの実施という2本の柱で、児童労働問題に取り組んでいます。

ILO条約については、1919年のILO設立当初から、工業、農業、漁業、鉱山など産業部門別に就業最低年齢を定めた国際基準の設定に取り組んできました。そして、1973年には、全産業を対象とする就業最低年齢を定めた第138号条約を採択しました。さらに、1999年には、「最悪の形態の児童労働」をなくすための取組みを直ちに始めることを定めた第182号条約を採択しました。

ILOは、1992年より開始された技術協力プログラム「児童労働撤廃国際計画(IPEC)」を通して児童労働問題に取り組んできました。「最悪の形態の児童労働」の撤廃に重点を置きながら、最終的にはすべての児童労働をなくすことを目標とし、その活動は、政府、労働者団体、使用者団体、NGO、学校、メディアなど、多くの関係者のパートナーシップのもとで実施されてきました。2015年より、強制労働撤廃も含むIPEC+(児童労働・強制労働撤廃国際計画)として、持続可能な開発目標ターゲット8.7に沿って、2025年までに児童労働、また2030年までに強制労働を根絶させることを目指して活動しています。IPEC+についてILO本部のHP(英語)は、こちらより。 

児童労働の現状(2021年発表・2020年初頭時点)

最新報告書『児童労働:2020年の世界推計、動向、前途 』5つのポイント


児童労働の原因

世界中で、多くの子どもたちが児童労働に陥る原因としては、以下のようなものが挙げられます。
  • 貧困
  • 教育機会の欠如(近くに通える学校がない、通学手段がない、制服代・文房具代・昼食代を払えない、不十分なカリキュラム、教員の不足、親が教育を受けていないため子どもを学校に通わせようとしない、など)
  • 児童労働を当然視する地域社会、また無関心
  • 差別
  • 武力紛争や自然災害、HIV/エイズなどによる社会の混乱(子ども兵士、孤児、など)
  • 農村部から都市への移住によるスラム化
  • 不適切な法律の施行、など

最悪の形態の児童労働とは


児童労働の中でも「最悪の形態の児童労働」は、ILOの182号条約(1999年)によって、以下のように定められています。第182号条約はこちら
  1. 人身売買、徴兵を含む強制労働、債務労働などの奴隷労働
  2. 売春、ポルノ製造、わいせつな演技に使用、斡旋、提供
  3. 薬物の生産・取引など不正な活動に使用、斡旋、提供
  4. 児童の健康、安全、道徳を害するおそれのある労働
SDGs 8.7 において、18歳未満の児童による最悪の形態の児童労働を2025年までに撲滅することをめざしています。


児童による危険有害労働とは


最悪の形態の児童労働の一つで、第182号条約の第3条(d)項により、「児童の健康、安全もしくは道徳を害するおそれのある性質を有する業務又はそのようなおそれのある状況下で行われる業務」と規定されています。

児童による危険有害労働は、最悪の形態の児童労働の中で最多数を占め、2020年時点では、5歳~17歳で危険有害な児童労働に従事する子どもたちの数は7,900万人(児童労働者全体の約半数)です。

なお、各国政府が、禁止すべき児童による危険有害業務の種類を決定するにあたっては、関係のある使用者団体及び労働者団体と協議した上で、特にILOの第190号勧告(1999年)第3項の規定(以下a ~e)を考慮し、国内法令又は権限のある機関によって決めることとされています。
(a) 肉体的、心理的または性的な虐待
(b) 坑内、水中、危険な高所又は限られた空間
(c) 危険な機械等の使用、重い荷物の運搬
(d) 危険有害な物質、熱、騒音、振動等、不健康な環境
(e) 長時間労働、夜間労働、外出の不当な制限等、困難な条件