最新報告書『児童労働:2020年の世界推計、動向、前途 』5つのポイント



6月10日、ILOとユニセフは共同で、世界の児童労働に関する報告書"Child labour: Global estimates 2020, trends and the road forward"を発表しました。最新の情報、規模や特徴、時系列で見られる変化などを紹介しています。

ここでは、5つの知っておくべきポイントを紹介します。


1. 現在、世界中には、1億6,000万人の子どもたちが児童労働をしています。その数は世界の子どもたちのおよそ10%に当たります。

2016年以降、児童労働に従事する子どもの数は840万人増加し、1億6,000万人となりました。その内訳は、女の子が6,300万人、男の子が9,700万人です。ILOが20年前に世界推計値を発表して以来、初めての増加です。


2. 児童労働の多くは、依然として農業部門にみられます

児童労働の70%は農業で、3分の2以上は家族経営で行われています。現在、何千万もの家族経営の農場が、児童労働に機能的に依存しています。これは、多くの国の農村経済や、国内外のサプライチェーンにおける構造的な問題です。


3. サハラ以南アフリカで、取組みの画期的な成果を上げることは、児童労働に対する世界的な進展にとって不可欠です。

最近の傾向として、児童労働はサハラ以南のアフリカに集中しています。現在、サハラ以南のフリカで児童労働に従事する子どもたちの数は、世界の他の地域を合わせた数よりも多くなっています。

しかし、地域によって大きな違いがあり、アジア・太平洋地域とラテンアメリカ・カリブ地域では、児童労働は割合的にも絶対的にも減少し続けています。


4. COVID-19の危機は、取組みの進展をさらに脅かすものとなっています。

危機による貧困の影響で、児童労働は2022年末までにさらに890万人増加する可能性があります。予測される増加分の半数以上は、5歳から11歳までの低年齢の子どもたちが占めています。

増加した場合、その増加率は、パンデミック発生前の4年間に見られた増加率の2倍となります。


5.  「COVID-19」の危機の期間、および危機からの回復において、児童労働に対する取組みを進展させるためには、子どもたちのために十分な資金を確保することが不可欠です。

COVID-19は、児童労働を増加させる可能性があります。そして世界は限られた財政余地に直面しています。各国政府は、2025年までに児童労働をなくすという共通の目標を達成するために、創造的な資金調達戦略をとる必要があります。

国際社会は、資金調達のギャップを埋める必要があります。多くの国が政府開発援助(ODA)の公約を果たせずにいます。また、債務返済に追われ、子どもたちのための社会支出が締め出されることがないよう、多額の負債を抱えている国には、債務救済を拡大する必要があります。

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