アジアにおける責任あるサプライチェーン(日本)

「アジアにおける責任あるサプライチェーン」プロジェクトでは、多国籍企業とそのサプライチェーンの活動において責任ある企業慣行の推進を目指しています。アジアの6か国で実施され、日本では電子業界と自動車部品業界のサプライチェーンを有する多国籍企業の経験の共有と好事例の展開に取り組みます。本プロジェクトは、欧州連合(EU)のパートナーシッププログラムにより、EUとILOが共同で資金拠出して実施されます。


「アジアにおける責任あるサプライチェーン」プロジェクト
は、日本では電子業界と自動車部品業界を中心に活動します。これらの業界はいずれもアジアで多くの労働者を雇用しており、日本はこうした製品の経由地または最終的な輸出先として重要な存在です。日本企業は昨今、その国内外での事業活動の中で、社会的責任ある労働慣行への配慮を積極的に取り入れつつあります。

本プロジェクトの活動では、企業の社会的責任(CSR)と責任ある企業行動(RBC)に関する国際的な基準やアプローチに対する意識を一段と高め、知識を強化することを目指しています。調査を実施し、特に政府や企業、労働者のようなステークホルダーの間で好事例を共有し、戦略的なパートナーシップを構築しながら、既存の取り組みとの整合を図ります。

ILOは2014年から日本で、政労使の協力の下、CSRの労働面に関する会議やセミナー、小規模会合を開催してきました。これらの対話により、多国籍企業が、日本国内に加えて進出先のアジアの国々でも実際の経験や好事例について話し合う場が生まれています。さらに日本政府はこれまでアジア各国で、社会的責任ある労働慣行に関するILOのプログラムに資金を拠出してきました。

原則と指針


本プロジェクトは、CSR(RBC)に関する国際的に合意された原則と指針を基に実施され、主な文書として、ILOの多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言(多国籍企業宣言)とOECDの多国籍企業行動指針を参照します。

こうした指針を遵守することは、労働関連法令の遵守を尊重する企業文化につながり、関係する国内法と国際労働基準に則って労働者の権利を守り、労使関係を向上させることができると考えています。

期待される成果

  • CSR(RBC)に関わるあらゆる関係者(特に企業、労働者、政府)の意識を高め、知識を深めること
  • CSR(RBC)の実践や取り組みを促進し、普及させること(好事例、事例調査、ツール、経験の共有、報告書の作成などを含む)
  • 日本とEUが、関係する国際的に合意された原則と指針に則って、CSR(RBC)に関する整合性を高めること
  • 国際的に合意されたCSR(RBC)の原則と指針に基づく業界レベルでの取り組みや健全な労使関係など、既存のマルチステークホルダーのパートナーシップを発展・強化すること
  • 関連するあらゆるステークホルダー間で、国際的に合意されたCSR(RBC)の原則と指針に関する情報交換を密にし、維持すること
  • アジアで活動する日本企業が環境保護のほか、ディーセント・ワークと人権の尊重にいっそう寄与することを促し、関連の規制フレームワーク間の整合性を高めること
企業の社会的責任(CSR)と責任ある企業行動(RBC)は、企業が、社会に対する自らの事業活動の影響に配慮する取り組みです。関連する国内法が整備されていない場合でも、企業が人権と労働に関する権利を支持し、保護する責任を有するという国連の原則に由来しています。CSR(RBC)を通じて、企業は社内の業務の方法やプロセスだけでなく、外部との関係においてもその原則と価値を確実にすることができます。「アジアにおける責任あるサプライチェーン」プロジェクトは、CSR(RBC)が企業経営の不可欠な要素であり、企業がリスクを管理し、包摂的な成長を促進し、国際的なサプライチェーンにおけるディーセント・ワークを確たるものにする上で役立つものと考えています。

プロジェクトの活動に関する詳しい情報は、プロジェクト全体の紹介(英語)をご覧ください。