組織
ILOの三者構成原則
国際労働機関(ILO)は、国連機関の中で唯一、政府、使用者、労働者の代表からなる三者構成の原則をとっています。ILOはこの三者構成により、187の加盟国の政府と労使が構成する社会的パートナーが自由かつオープンに話し合い、労働基準や政策を立案できる独特の合意形成の場となっています。国際労働総会
ILOの広範囲にわたる政策は、スイスのジュネーブにおいて毎年6月に開催される国際労働総会で定められます。この年次総会には、ILO加盟国の政府、労働者、使用者の代表が出席します。ILO総会は、しばしば「労働に関する世界議会」とも呼ばれ、国際労働基準を設定・採択するとともに、重要な社会・労働問題を討議する場でもあります。また、ILOの事業予算を承認し、理事会の理事を選出します。
各加盟国は、政府の代表2名、使用者の代表1名、労働者の代表1名、およびそれぞれの顧問からなる代表団を派遣します。政府代表の多くは、各国の労働問題担当の閣僚です。使用者と労働者の代表は、それぞれ自国の最もよく代表する労使団体との合意によって指名されます。
全ての代表は同じ権利を持ち、全員が自由に意見を表明し、自らの意思に従って投票することができます。労使代表が政府代表に反対票を投じることもあれば、労使代表間で票が分かれることもあります。しかし、この見解の多様性が、大多数または場合によっては満場一致による決議採択を妨げることはありません。
ILO総会では国家元首や首脳も発言します。政府系および他の国際機関は、オブザーバーとして出席します。
理事会
理事会はILOの執行機関であり(事務局はILOの事務部門)、年3回(3月、6月、11月)開かれます。理事会はILOの政策決定、ILO総会の議題の決定、事業計画と予算案の承認と総会への提出、事務局長の選出等を行います。理事会は56名の正理事(政府を代表する28名、使用者を代表する14名、労働者を代表する14名)と、66名の副理事(政府を代表する28名、使用者を代表する19名、労働者を代表する19名)で構成されています。政府側を代表する28名の正理事のうち10名は、主要産業国である加盟各国(ブラジル、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、ロシア、英国、米国)が常任理事となります。その他の政府側理事は、3年の任期で総会によって選出されます。使用者側理事と労働者側理事は、個人の資格において選出されます。
国際労働事務局
国際労働事務局はILOの常設事務部門です。事務局はILOの全活動の中心であり、理事会の指示と事務局長のリーダーシップのもと、ILOの活動の準備態勢を整え、実行しています。事務局は、ジュネーブ本部と世界各地にある約40の現地事務所において、150カ国以上から約2,800名の職員が働いています。これらの職員のうち1,100名は、技術協力プログラム・プロジェクトに携わっています。
ILO事務局長
事務局長は5年ごとに理事会によって選出されます。事務局長は理事会の指示を受けて、ILOの効率的運営と、適宜割り当てられるその他の任務に対して責任を負います。ガイ・ライダーILO事務局長は、2012年10月1日に就任しました。ライダー事務局長は雇用、社会的保護、貧困との闘い、平等といった現代社会が直面する諸問題に対処する上で、ILOがまさに中心となる機関である、と表明しています。そのため、ライダー事務局長は、仕事の世界に影響を及ぼす問題に国際的な立場から意思決定に参加する中心的存在であるILOの位置づけを一層強化したい、と考えています。
ガイ・ライダー事務局長は、ILOが経済危機など困難な世界情勢において、また各国で変化し続ける特に仕事の世界に関わる国家的課題について、ILOが役割を果たすべきと考えています。
これらの目標を達成するために、ガイ・ライダー事務局長は、ILOの技術面での能力強化と政策分析能力の向上を目的とした内部改革のプロセスに着手しています。
"If there aren’t jobs, there can be no sustainable economic growth. If the economy can’t grow, it can’t create jobs. That simple logic wasn’t apparent to policy-makers who applied austerity in Europe. It’s not the only element of the economic malaise we face, but it’s the quintessential centre of it all.”
G. Ryder