国際障害者デー

ILO事務局長声明-持続可能な開発目標の達成においては障害者の能力発揮を可能にする政策が決定的に重要

声明 | 2016/12/03

 世界人口の15%あまりを占める障害者は世界最大の少数者集団です。その約8割が生産年齢人口であるものの、生産的な雇用とディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)への障害者の権利はしばしば否定されています。2016年の国際障害者デー(12月3日)に際して発表した以下の英文声明で、ガイ・ライダーILO事務局長は、誰も置き去りにしないという私たちが望む未来の達成と貧困根絶には障害者を含む全ての人のディーセント・ワークの実現が決定的に重要であると強調し、すべての障害者の社会参画と完全かつ平等な権利の達成に向けた公約を改めて表明しました。

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 12月3日の本日、国連及び世界は国際障害者デーを祝っています。ILOを含むジュネーブにある国際機関は障害者と共にこの日を「全ての人のための日」と宣言することとしました。

 「全ての人のための日」は私たちの職場、家族、学校、地域社会に対する障害者の重要な貢献を認め、祝福することを呼びかけています。また、人間の多様性の一部として、障害を歓迎する公約を改めて表明することを求めています。

 誰も置き去りにしない未来という私たちが望む未来を達成し、貧困を根絶するには、障害者を含む全ての人のディーセント・ワークの実現が決定的に重要です。この目標は持続可能な開発目標の実現に向けた戦略の中に組み込む必要があります。

 世界人口の約15%を占める障害者は世界最大の少数者集団です。この約8割が生産年齢人口であるものの、生産的な雇用とディーセント・ワークへの障害者の権利はしばしば否定されています。

 障害者は働き、自らの家族や社会に貢献することを欲しています。しかし、障害者、とりわけ女性障害者が、仕事の世界における平等な機会を阻む態度、物理面、情報面での大きな壁にぶつかっている現実がよく見られます。障害のない人と比べ、障害者の失業率や非労働力率は高く、極度の貧困を減らすカギを握る社会的保護が不十分となるリスクも高くなっています。しかしながら、この壁が撤去された時、障害者は障害のない人と同じくらい生産的で信頼のおける存在となり得ることを私たちは経験上知っています。

 ILOは古くからの公約として、その社会正義の使命の追求において障害者のディーセント・ワークを促進してきました。私たちの戦略の一つの路線は特定の不利な条件や壁の克服を目指す障害特有のイニシアチブを伴うものですが、もう一つの路線は技能訓練や雇用促進、社会的保護制度、貧困削減戦略などの本流のサービスや活動への障害者の包摂確保を図るものです。

 ILOは2014~17年障害包摂戦略・行動計画の目標達成に向けて、国連ファミリー、政府及び労使団体というILOを構成する三者、障害者団体その他の利害関係者とのパートナーシップ構築に努めていることをご報告します。

 国際障害者デーの本日、私たちは全ての障害者の社会参画と完全かつ平等な権利の達成に向けた公約を新たにするものです。共に活動することによって、私たちはディーセント・ワークの達成を阻む壁を打ち倒し、毎日を「全ての人のための日」にすることができるでしょう。

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 国際障害者デーに合わせた広報資料として、労働問題図解ウェブサイト「InfoStories」中に障害者の包摂に関するページ(英語)が新設されました。ここでは、専門用語を廃した視覚に訴える分かりやすい表現で、図表、動画、画像、その他の対話型要素など幅広いメディアを駆使して、世界全体で10億人以上を数える障害者の雇用が民間企業にとって経営上の良い判断になる理由、そして障害者の包摂を促進できる方法を示しています。障害者の包摂に向けた手立てとしては、経営トップの公約、採用を阻む障壁の除去、アクセス可能性の改善、個人個人のニーズの柔軟なとらえ方、他者からの支援、歓迎姿勢の構築が挙げられています。ILOのビジネスと障害グローバル・ネットワークの活動やそのパートナー、ネットワークの掲げる障害者の包摂に関する10原則の紹介も行われています。

 また、国際障害者デーを前にした2016年11月30日に、障害事項のコンサルタントとしてILOで働くペーター・フレムリン氏がILOのブログ「Work in progress(進行中の仕事)」に「賢い使用者は障害者を包摂する方法を知っている」と題する記事(英語)を投稿し、ILOから提供された合理的配慮の例を挙げて、これがしばしば障害者に違いをもたらすこと、そしてますます多くの使用者が、これがいかに簡単で費用効果的であるかを発見し始めていることを報告しています。