協同組合の国際デー

ILO事務局長声明-協同組合:古くからあるものの、今日の世界においてかつてないほど通用する考え方

声明 | 2016/07/02

 7月第1土曜日(今年は7月2日)に設定されている協同組合の国際デーに際して発表した以下の英文声明において、ガイ・ライダーILO事務局長は、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」達成のカギを握るのは協同組合と説いています。

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 世界中の協同組合運動と共にこの「協同組合の国際デー」を祝賀できるのは喜ばしいことです。

 2015年9月の国連総会における全会一致での「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の採択に続く今年の国際デーのテーマである「協同組合:持続可能な未来のために行動する力」は、時宜を得たものであるだけでなく、協同組合の傑出した偉業、そして持続可能な開発目標の達成に対するその大きな貢献に光を当てる重要な機会を提供するものでもあります。

 協同組合の考え方は新しいわけではありませんが、今後数十年間世界が直面するであろう開発分野の課題と機会を考えると、かつてないほどの通用性を示すものであると言えます。

 生産年齢人口の伸びに合わせるためには2030年までに世界全体で6億人分以上の新規雇用を創出する必要がある今日の仕事の世界は岐路に立っています。その上、人々が貧困とインフォーマル(非公式)経済から抜け出せるようにするには仕事の質の改善が必要になるでしょう。

 世界中で多くの協同組合が、質の高い仕事を提供する能力、したがって持続可能な開発を支えられる能力を示しています。協同組合に生計を頼っている人は世界中で数百万人に上るため、協同組合は持続可能な開発目標8(持続可能で包摂的かつ持続的な経済成長、生産的な完全雇用、すべての人のディーセント・ワークの促進)のみならず、貧困削減や飢餓ゼロ、男女平等、平和と正義などに関する他の複数の目標にも貢献します。

 過去数十年にわたり、協同組合は経済のあらゆる部門において強靱かつ民主的であり、持続可能で経済的な将来性のある事業モデルを提供してきました。

 こういった業績に光を当てるため、ILOは2014年に国際協同組合同盟(ICA)と協同で、持続可能な開発の達成を協同組合がいかに手助けできるかの諸例を示す研究成果物を発表しました。この調査研究は、持続可能な開発のためのアジェンダの採択に至った議論に寄与しました。

 協同組合は他の零細・中小企業と共に若者を含むすべての人々に人間らしく働きがいのある仕事を提供する上で重要な役割を演じ続けるでしょう。協同組合は起業家の世界に入るための障壁を引き下げ、インフォーマル経済の仕事をフォーマル(公式)化する上で重要な役割を演じています。これは世界中で何百万人もの労働者とその家族の労働条件の改善及び生計手段の向上につながります。

 以上を含む様々な理由から、ILOは持続可能な開発の推進役としての協同組合の役割を認め、引き続き協同組合企業モデルを強く支持していくものであり、持続可能な開発とディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)をすべての男女に実現するために協同組合運動との協働が続けられることを期待しています。