国際女性の日

ILO事務局長声明:2030年までに平等を達成するには、未来は今から始まる

声明 | 2016/03/08

 2016年の国際女性の日(3月8日)に際して発表した以下の英文声明で、ガイ・ライダーILO事務局長は、女性のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)は皆に人間らしい暮らしをもたらすとして、仕事の世界における真の男女平等と女性のエンパワーメントの達成に向けて力を結集することを呼びかけています。

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 国際女性の日(3月8日)の本日、私たちが主張したいのは、2030年までに平等を達成するには、未来は今から始まるということです。

 国連は昨年、変化をもたらす道筋を示すものとして「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を採択しました。誰もが公正と正義と共に前進することを許す持続可能な開発目標の達成を望むならば、この目標に向けた公約に今から取り組む用意が必要です。最終的に重要なのは、至る所の少年少女、成人男女の暮らしを良い方向に変える変化と結果なのです。

 男女平等はすべての人々、そして家族、企業、社会に利益をもたらします。仕事の世界は2030アジェンダが求める変革を始動させる特権的な入り口です。しかしながら、仕事の世界には許容できない男女格差がいまだにはびこっており、ILOの新刊書『Women at work: Trends 2016(働く女性の動向:2016年版・英語)』に警戒すべきほどありありと捕捉されています。

 報告書は人間らしく働きがいのある仕事を見つけ、維持する上で女性が直面し続けている巨大な課題を示し、しつこく残る男女間の収入力の不平等性を明らかにし、男女の労働時間及び有給労働と無給労働の不均衡な差、そして十分な母性保護と年金の機会を得る上で女性が直面している困難をあらわにしています。

 また、過去20年にわたって女性は教育面で飛躍的な進歩を達成したにもかかわらず、これが仕事上の地位における同等の改善につながっていないことは深刻な懸念事項です。

 こういった頑固な課題は重要な問題を提起します。現行の進展速度では70年かかると見積もられている男女賃金格差をどうすればそれより短い期間で解消することができるでしょう。公平な賃金の達成を待つのに2世代では長すぎます。

 なぜ女性や少女に対する差別や暴力をなくすのにこんなに時間がかかっているのでしょうか。どうすれば家事や育児・介護などの無給のケアその他の労働の価値、そして社会的保護を伴った良質の仕事への道がふさがれているという女性にとっての結果を認めてもらえるでしょうか。経済生活・公共生活のあらゆる階層に女性が完全かつ実効的に参画することを確実にできるのはどんな措置でしょうか。

 2019年のILO創立100周年が近づいてきた中で私たちが立ち上げた「働く女性100周年イニシアチブ」は、男女平等を促進し、既に効果が示されているものを踏まえてこの分野における活動に新たな弾みを付けるような措置を特定するというこの機関の公約を新たにするものです。仕事の世界の女性の状況に関する世界的な調査と研究は、革新的な行動を導く望みとそれを阻む障害を明確に特定することになるでしょう。

 私たちはただちに、幅広く効果的な行動を起こさなくてはなりません。無駄にできる時間はありません。2030アジェンダは、努力を結集し、男女平等に向けた、一貫性があり、相互に支え合う政策を策定する機会なのです。

 仕事の世界における真の男女平等と女性のエンパワーメントの達成に向けて共に取り組みましょう。女性のエンパワーメントに向けて少年や男性の関与を募りましょう。女性のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)は、皆に人間らしい生活をもたらすのです。