「あきこの部屋」第31回 国際労働統計家会議

2018年10月30日

10月の前半は30度を超える日もありましたが、後半はさわやかなお天気に恵まれています。自民党総裁選挙で安倍晋三首相が3選され、10月2日に第4次安倍改造内閣が発足しました。厚生労働大臣・働き方改革担当には根本 匠氏が新しく任命され、外務大臣は河野 太郎氏が留任しました。

ILO駐日事務所の10月の活動を紹介します。

法政大学大原社研と共催で第31回 国際労働問題シンポジウム、東京2020組織委員会と共催で第2回サステイナビリティー・フォーラム、上智大学、国際連合工業機関(UNIDO)等との共催で国連ウィークシンポジウム「SDG 8 とSDG 9 の達成に知っておくべき背景と事実:企業の戦略は?」を実施しました。御協力いただいた皆様に御礼申し上げます。各イベント報告については、インターンによるTwitter @ILOJapanFriends をぜひご覧ください!

また、ILOと日本生活協同組合連合会(日本生協連)は、2010年よりアフリカの協同組合リーダーが日本の協同組合活動を学ぶ研修プログラムを毎年実施していますが、今年は、フランス語圏アフリカからカメルーン、チュニジア、コートジボワールの3名を招聘しました。プログラムの一環としてのILO-日本協同組合連携機構(JCA)共催公開セミナーでは、各参加国大使も御出席いただき、活発な議論が行われました。

出版物としては、今年のILO総会事務局長報告「働く女性100周年イニシアチブ:平等への一押し」の日本語版及び「SDGsと企業戦略;競争力強化と社会的責任ある経営・雇用戦略」というパンフレットを作成しました。

さて、今月は、ジュネーブのILO本部で10月10日から19日まで、政労使や国際機関等の専門家約360人が参加し、第20回国際労働統計家会議 が開催されたので、これを取り上げます。この会議は労働統計分野の基準設定機関として世界的に認められており、1923年の第1回会議以降、5年おきに開催されています。

単一の使用者との間で結ばれる伝統的な雇用関係の下にある従属労働と自営業の境界が曖昧になってきたこと、より個別的な労働形態、そしてオンライン・プラットフォームを介しての労働や要求に応じてその都度提供される労働、クラウドワーク、臨時雇用、派遣労働などのような新しい就労形態を考慮に入れた新たな職分類を示す決議が採択されました。会議ではまた、非公式(インフォーマル)性の問題や関連政策への助言方法についても検討が行われました。家事労働の役割と家事労働者を新しい労働関係分類の中にどのように取り入れるかについての検討も行われました。

2013年の第19回会議で採択された仕事または労働に関する革新的な統計上の定義と指標の利用を支援する新たなツールが発表され、仕事の世界における女性の役割も取り上げられました。新定義では初めて労働を、「賃金または利潤のために行う就労」という狭い概念を越えて「自家消費のための生産や無償労働、ボランティア労働を含むもの」と定めていますが、各国がこの新概念を労働力調査に用いるのを支援し、情報を得た上で政策決定の基盤にできるようなツールが発表されました。会議では無償労働に経済価値を付与する問題や、例えば、地域社会の奉仕員・ケア労働者などのボランティアや無償の家事労働を行っている女性など、これまで統計で把握されていなかった労働者を可視化する方法についても議論が行われました。

さらに、国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ 」に関連し、ILOが責任を持っている持続可能な開発目標(SDG)の指標8.8.2の労働者の権利を測定する方法論 、指標8.b.1の若者の就労計画に関する進捗状況をモニタリングする方法論 に関しても合意が達成されました。

このほかに、国際労働力移動 、強制労働、協同組合、技能ミスマッチのそれぞれに関する4本の指針と児童労働の規模を測定する方法を更新する決議が採択されました。