第18回 「現代の奴隷は4,000万人、児童労働は1億5,200万人」

2017年9月28

8月に内閣改造が行われたことをお知らせしましたが、安倍総理大臣は9月28日に招集された臨時国会の冒頭で衆議院を解散することを表明しました。10月10日に公示、22日に投票の日程で、野党側は臨時国会冒頭での解散の表明に一斉に反発しました。現在、与野党とも候補者擁立や公約作成など本格的な選挙準備を始めたところです。また、7月の東京都議会議員選挙で圧勝した東京都知事の小池百合子氏が新党「希望の党」を結成し、代表となりました。最大の野党民進党の前原代表は希望の党へ合流する方針を表明しました。

さて、今月は、9月19日、ニューヨークで開催された国連総会の場で、8.7連合(Alliance 8.7)により発表された現代の奴隷制と児童労働についての最新の世界推計をとりあげます。8.7連合は、持続可能な開発目標(SDGs)のターゲット8.7目標達成に向けて地球規模の連携行動のために形成された連合で、ILOは主要メンバーとなっています。
注:開発目標8.7:強制労働を根絶し現代の奴隷制、人身売買を終らせるための 緊急かつ 効果的 な措置 の実施 、最悪 な形態の児童 労働 の禁止 の禁止 及び 撲滅を 確保 する。 2025年までに 児童兵士の 募集と使用 を含むあらゆる形態の児童労働 を撲滅する。)

現在の奴隷制は、ILOと国際人権団体のウォーク・フリー財団が国際移住機関(IOM)と協力して作成した『現代の奴隷制の世界推計:強制労働と強制婚姻(原文英語、Global estimates of modern slavery: Forced labour and forced marriage)』により発表されました。2016年現在、世界全体で4,000万人以上が現代の奴隷制の被害者で、約2,500万人が強制労働、約1,500万人が強制婚姻の被害者となっています。女性・少女は、現代の奴隷制の被害者全体の71%に相当する約2,900万人、そして商業的性産業における強制労働被害者の99%、強制婚姻被害者の84%を占めています。また、現代の奴隷制被害者の4人に1人に当たる約1,000万人、強制婚姻被害者の約37%に当たる570万人が婚姻当時子どもであったと見られます。

児童労働は、ILOが作成した『児童労働の世界推計:201216年の推計結果と趨勢(原文英語Global estimates of child labour: Results and trends, 2012-2016)』によると、世界全体で5~17歳の子どもの約10人に1人に当たる1億5,200万人(少年8,800万人、少女6,400万人)が従事しています。児童労働が集中しているのは、依然として農業(全体の70.9%)で、次いでサービス業(17.1%)、工業(11.9%)となっています。地域別では、前回まではアジア・太平洋が最多だったのですが、今回はアフリカ(7,210万人)が最も多く、次いでアジア太平洋(6,200万人)、米州(1,070万人)、欧州・中央アジア(550万人)、アラブ諸国(120万人)の順となっています。5~14歳の児童労働者の3分の1近くが教育制度の枠外にいると見られます。危険有害労働に従事する児童労働者の38%が5~14歳であり、1517歳の児童労働者の約3分の2が週労働時間が43時間を上回っています。

 ガイ・ライダーILO事務局長は、「8.7連合のパートナーと共に本日ILOが発信するメッセージは非常に明確」として、「この悩ましい問題と戦う努力を大幅に拡大しない限り、世界は持続可能な開発目標を達成する状態にはならないであろう」と訴え、今回発表した世界推計が強制労働と児童労働を共に防止するための政策や取り組みを策定し、実施する助けになることへの期待を述べています。