「あきこの部屋」第17回 世界の先住民の国際デー

日本では83日に内閣改造が行われ、第3次安倍第3次改造内閣が発足しました。安倍総理は経済の再生を重視し、新たに人づくり革命担当大臣を設置し、茂木敏光氏を任命しました。ILOと関係が深い厚生労働大臣には、前の働き方改革担当大臣の加藤勝信氏、外務大臣には河野太郎氏を任命しました。

さて、昨年から811日が「山の日」として国民の祝日に加わり、年間の祝日は16日に増えました。お盆の休み(主として8月中旬に行われる祖先の霊を祀る行事、その時期に休暇をとる人が多い)と連続させやすいという理由もあり、真夏のこの時期に設定されました。でも今年は、東北の太平洋側や関東は夏らしい天気から見放され、低温長雨で、野菜の高騰、レジャー施設利用客減少などさまざまな問題が起きています。

さて、国連は1994年以降、89日を「世界の先住民の国際デー」に指定していますので、今月は先住民についてのILOの取り組みを紹介します。今年のガイ・ライダーILO事務局長の声明は、特に先住民の女性のエンパワーメントと発言力の促進に焦点をあてています。先住民が世界人口に占める割合は5%と推定されているものの、貧困人口に占める割合は15%と多くなっています。先住民女性の多くが貧困層の中でも特に貧しく、先住民、女性という2重の差別を受けています。

ILO1989年に「先住民及び種族民条約」を採択しました。(この条約の国会報告時の訳は「原住民及び種族民条約」であるが、原住民は差別用語に当たる可能性があり、本稿では先住民を使用する。)この条約は、1957年の第107号条約、が同化主義的な方向付けであったのを、時代の要請に応えて改め、先住民・種族民が独自の文化、伝統、経済を維持していくことを尊重するために改正したものです。2007年には「先住民族の権利に関する国連宣言」が採択され、ILOと国連の2つの文書は、先住民の居住する地域レベルから国際レベルにいたるまでの公共政策の策定や先住民のコミュニティが独自の開発優先目標を追求することを支援しています。

国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を構成する持続可能な開発目標の達成に向けた集団的な努力の一環として、先住民が直面している疎外と社会からの排除の問題への取り組みがあります。先住民の懸念事項と知識はまた、環境の持続可能性に向けた公正な移行の中心に位置しています。

ILOは、20174月にニューヨークで開かれた国連の先住民問題に関する常設フォーラムにおいて、先住民のエンパワーメントにおいてディーセント・ワークが果たしうる重要な役割を指摘しました。

また、今年のILO総会の中で開催された「働く女性のためのより良い未来」をテーマとする仕事の世界サミットにおいて、中南米・カリブ先住民開発基金のミルナ・カニンガム総裁が、平等は単に文化を変えるだけの問題ではないと強く訴え、差別を下支えする構造的な要因に取り組むには、政治的意思と実効性ある立法が必要との意見を述べましたが、ガイライダー事務局長も大いに賛意を示しています。

先住民の権利と開発目標を取り入れた政策に向けて力を合わせていこうという事務局長の呼びかけに、日本でも応じていければと思います。