国際家事労働者デー
ケアを提供する人々の面倒を見るのは誰?
2016年06月16日
2011年6月16日に第100回ILO総会において、家事労働者に他の労働者と同じ基本的な権利を保障する初の国際労働基準である家事労働者条約(第189号)>と付随する同名の勧告(第201号)が採択されたことを記念して家事労働者団体はこの日を国際家事労働者デーとしています。基準採択から5年が経過し、この脆弱な労働者の保護に向けた着実な歩みが見られますが、国際デーに際して発表した以下の英文論説記事で、ガイ・ライダーILO事務局長は、2030年までに家事労働者にとってディーセント・ワークが現実となるよう確保するために引き続き協力していくことを改めて約しました。
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私たちの子どもや高齢者、障害者の面倒を見て、家事を担ってくれる家事労働者。でも私たちはこれらの人々の面倒を十分に見ているのでしょうか。
典型的な家事労働者の賃金は平均賃金の半分にも満たず、時には2割程度にも達していません。労働時間は最長の職種の一つに数えられ、ほとんどの場合予測不可能です。そして、家事労働者の9割が、年金や失業給付などの社会的保護の機会を与えられていません。
家事労働者の少なくとも8割が女性であるため、これは不均等に多くの女性がこういったディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の不足を被っていることを意味します。家事労働はまた、女性の仕事の4%程度を占め、例えば、中南米では、女性賃金労働者の14%が家事労働者です。
この労働には国際的な側面もあります。最近のILOの分析によれば、移民が家事労働者に占める割合は17%に上ります。
脅かされているのは数千万人の家事労働者の安寧、そしてそのサービスを受けている世帯の安寧です。人口動勢と高齢化に関する最近の国連の推計からは家事労働に対する需要が伸びる可能性が高いことが確認され、人口の高齢化、公的育児・介護政策の削減、世界的な女性労働力人口の増加によって、家事や子ども、高齢の親の面倒を見てもらうために家事労働者に頼る世帯が増えてきています。
その姿はしばしば目に見えないものの、家事労働者はケア経済の基本的な要素であり、インフォーマル(非公式)経済、フォーマル(公式)経済の両方において家庭内でケアサービスを提供しています。公式に雇われた場合の経費や複雑さを避ける者も多く、インフォーマル雇用や未申告労働の水準の高さにつながっています。
これらは新しい問題ではないものの、元気づけられることとして、世界中で政策策定に携わる人々が驚くほど前向きにこの課題に取り組むようになっています。
5年前の本日、ILOは「2011年の家事労働者条約(第189号)」と付随する同名の勧告(第201号)を採択しました。これは正に世界中の個人世帯で労働を提供している6,700万人の家事労働者に基本的な保護と権利を拡大することを目指す世界初の家事労働者のためのディーセント・ワークに関する国際基準です。条約がILO加盟国によってほぼ全会一致で採択されたという事実は、ケア経済内の決定的に重要なサービスを自宅や社会に提供しているにもかかわらず、家事労働者は労働条件と人権に関して深刻な差別を受けていることが全世界的に認められた印です。
その後の世界各国の対応は印象的なほどで、法と政策の改革が全世界的に進んでいます。
2010年のILOの推定では、他の労働者と同じ程度まで労働法規が適用されていた家事労働者は全体の1割に過ぎませんでした。2011年以降、70カ国以上が家事労働者にディーセント・ワークを確保するために行動を起こしました。このうち、22カ国が条約を批准し、さらに30カ国が法・政策の改革を成し遂げ、また少なくとも18カ国が家事労働者に保護を広げる作業を進めています。ILOはこのうち60カ国の政労使と提携し、事務局内の全専門知識を動員して幅広い政策分野にわたる政労使の能力構築に乗り出しました。
こういった措置は排除の歴史を是正する長い道程の最初の数歩を表すものの、家事労働者の保護という課題を満足するには不十分です。マスコミは幅広い虐待と搾取の報告を流し続けています。文頭に引用した統計それ自体が、多くのことを語っています。
「持続可能な開発目標」を採択するに当たり、国連は誰も置き去りにしないことを誓いました。家事労働者のディーセント・ワークの権利に関し、私たちは好スタートを切りました。しかし、真の進歩を確保するにはこの課題に絶えず注意を払い続ける必要があるでしょう。すべての人のための、そしてとりわけ女性のためのディーセント・ワーク、貧困削減、平等といった持続可能な開発目標の達成に真剣であるならば、家事労働におけるその不足に取り組むことが必要不可欠です。
ILOとしては、この肯定的な勢いを足場に、すべての家事労働者がその権利を有するディーセント・ワークを2030年までに現実のものとするよう確保するために、引き続き、政府、労働者、使用者、国際社会と連携して活動を続ける所存です。