第104回ILO総会

ILO総会討議資料:2014年にパレスチナの失業者は前年より25%増

2015年05月28日

 ILO総会の討議資料の一つとして、1980年の総会決議に従い、1981年から毎年、アラブ被占領地(パレスチナ及びシリアのゴラン高原)の労働者の状況に関する報告書『The situation of workers of the occupied Arab territories(アラブ被占領地の労働者の状況・英語)』が事務局長報告付録として提出されています。今年3月にアラブ被占領地とイスラエルを訪れた現地視察団が見出した事項をもとにまとめられた今年の報告書は、和平プロセスの行き詰まり、高い緊張、昨年夏のガザ地区における衝突、西岸地区におけるイスラエル入植地の拡張継続、暴力、占領は、パレスチナの経済と労働市場にますます多大な犠牲を強い、2014年に失業者数は前年の1.25倍の33万8,300人に達したと報告しています。報告書は、関係者すべての利害に対処した真の交渉プロセスを達成する必要性を強調し、危機から目を背けず、二国間での解決の道を模索するよう全当事者に呼びかけています。

 ガイ・ライダーILO事務局長は、占領と入植という二つの負担の継続は、「十分なディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の機会を提供する可能性がある生産的で将来性のあるパレスチナ経済の発展を許さない」として、中断している和平プロセスの再開に向けて直接の当事者を支援することを国際社会に訴えています。

 2014年のパレスチナの平均失業率は27%ですが、ガザ地区は西岸地区の2倍以上の約44%となっています。パレスチナ人口の7割以上を30歳未満の若者が占めていますが、その失業問題は特に深刻で、2014年に若者の失業率は男性が約40%、女性は63%に達しています。2006年から成長を続けてきたパレスチナの国内総生産(GDP)は、2014年にマイナス成長を記録し、特にガザ地区の一人当たり実質GDPは1999年水準より3割近く低くなっています。

 最近、イスラエルにおけるパレスチナ人の就労制限が若干緩和されたこともあり、同国で働くパレスチナ人は増加しています。イスラエルの使用者も労働組合も団体交渉に基づく協約に沿った労働条件でもっと多くのパレスチナ人労働者を受け入れる用意があると語っていますが、イスラエルで合法的に働き、この利益を享受できるパレスチナ人は5万2,000人強、入植地で推定2万6,000人に留まっています。10万7,000人と推定されるパレスチナ人全就労者の3分の1までが就労許可の枠外で、不安定かつ搾取的な可能性がある無規制の労働条件で働いていると見られ、この問題に早急に取り組む必要があります。報告書は、イスラエルにおけるパレスチナ人の就労は、「必要に迫られてのものではなく、選択肢の一つであるべき」と説いています。

 報告書はパレスチナの制度機構、とりわけ社会対話、男女平等、社会保障、職業教育・訓練といった社会・労働分野関連のものの構築に関する最新の動向をまとめ、これらが十分に機能できることの重要性を強調しています。さらに、絶え間なく暗い雇用・所得展望がもたらす可能性がある悪循環に警鐘を発し、パレスチナ社会、そして究極的にはパレスチナ主権国家の発展に向けた余地が縮小し続けているとの思いが生まれてきていることを指摘し、どんな新しい交渉においてもただちに直面するであろう問題として、アラブ被占領地の労働者の社会・労働面の権利の問題に加え、雇用・所得保障の問題を挙げています。

 2015年の第104回ILO総会は6月1日に開幕します。

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 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。