テレワーク
ILO会議:情報通信技術及び金融サービス部門におけるテレワークの利点と課題について検討
2016年11月10日
情報通信技術(ICT)によって可能になった働き方としてテレワークは成長を見せており、政府、使用者、労働者は共に、その潜在的な利点をますます認識し、促進を図っています。日本でも安倍晋三内閣総理大臣が、これまで労働市場から閉め出されてきた人々を取り込む手段の一つとして、テレワークを希望する労働者を支援するよう企業に働きかけています。例えば、テレワークを選びやすい環境の整備に努めている日本電信電話株式会社(NTT)では、総人員の約1割が既にテレワークを行っているとされます。
2016年10月24~26日にジュネーブのILO本部では世界中から政府、使用者、労働者の代表が集まり、情報通信技術と金融サービスの両部門におけるテレワーキングの利益を最大化し、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の観点から見た課題に対処できるような政策と実務慣行について話し合うグローバル対話フォーラムが開かれました。参加者はテレワークが労働・社会面の様々な利益をもたらす可能性があることに合意しました。労働者にとっての利点としては、通勤時間の短縮、仕事に関連した個人的な支出の削減、職業上の責任と育児・介護などのケア責任を両立できる能力の増大などといったワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の改善、就労機会の拡大などを挙げることができ、使用者にとっての利点には、生産性向上、諸経費削減、より多くの、より多様で士気の高い高技能労働力へのアクセスが含まれ、政府にとってテレワークとは、都市の交通渋滞や環境問題対策、すべての人に包摂的な雇用機会を促進する戦略となり得ます。しかしながら、会議で採択された合意ポイントは、情報通信技術及び金融サービス部門における産業特有の課題として、サイバーセキュリティーやプライバシー、機密情報の暴露に係わる問題の可能性を指摘しています。さらに、適切な取り決めがない場合、労働者は孤立や仕事と私生活の区別が曖昧になることに係わる心理社会的問題に直面する可能性があります。訓練機会の縮小やキャリア開発の機会不足を感じることや職業上の安全と健康に係わる状態を監視・制御することの困難も挙げられます。
参加者の国々の状況やニーズの違いが大きいことも示されました。南アフリカの政府代表は、同国ではテレワークがあまり普及しておらず、適切な定義も規制する法もないことを報告し、ILOに調査研究の促進を求めました。また、労働時間の問題を挙げ、時間か生産高かといった報酬決定基準の問題、基本的な労働条件や労使が別々の国に住んでいる場合の問題などを指摘し、不意を突かれることのないようテレワークを管理・規制する必要性を指摘しました。
英国の労働者代表は同国ではテレワークが極めて進んでおり、情報通信技術と金融サービスの両部門では幾つかの良い規則が存在することを報告し、安全衛生や労働者の権利といった基本的な権利が他の企業や産業にも確実に拡大されることへの希望を表明しました。そして、このような地域や国による違いに鑑み、ILO及びその加盟国にさらなる調査研究とデータの収集、最善事例の共有を求め、より掘り下げた合意に達するため、2年以内に再度会合を開くことを希望しました。エクアドルの労働・雇用大臣もその意見を共有し、とりわけ技術援助による加盟国の支援と新たな国際的な規則の策定に向けた国際的な話し合いの醸成におけるILOの役割に鑑み、今後20年のスパンで仕事の世界を考えることを提案しました。大臣はさらに、テレワークが移動の自由を奪われている障害者や子どもとの愛着関係を育む段階にある母親、雇用機会がない高齢者、そしてとりわけ18~26歳の若者に代案を提供することを指摘しました。
スリランカの使用者代表は、ほとんどの企業が交通渋滞によって10キロの移動に1時間半もかかるような中心都市のコロンボに位置しているため、同国でも若者や使用者の間でテレワークに関する関心が高まっている現状を報告しました。また、例えば、英国株式市場への主な供給元である情報通信技術のような産業に利益をもたらす可能性を指摘しつつ、新しい概念であるテレワークが法体系の中で光を当てられていないために金融部門の場合には抵抗があるとして、法の枠組みの中でいかに自分たちを守るかを使用者にとっての主な課題に挙げました。
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以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。