第321回ILO理事会
第321回ILO理事会:アンゴラ大使を新議長に選出/日本の案件を含む結社の自由委員会の報告書を承認
2014年06月13日
第103回ILO総会直後の6月13日にジュネーブで開かれた第321回ILO理事会は、2014~15年の議長として、外交官として長いキャリアを有するアンゴラ政府在ジュネーブ国連常駐代表のアポリナーリオ・ジョルジェ・コレイア大使を選出しました。使用者側副議長には、新たにデンマーク使用者連盟のヤアアン・ラネスト国際部長が選出され、労働者側副議長には、ベルギーのリュック・コルトベック・キリスト教労組連盟名誉会長が再任されました。両副議長はそれぞれのグループのスポークスマンも務めます。
ILO理事会は任期3年の正理事56名(政府側28名、使用者側14名、労働者側14名)及び副理事66名(政府側28名、使用者側19名、労働者側19名)で構成されています。6月2日に総会で行われた選挙の結果、2014~17年の理事が選出され、日本からは使用者側正理事として一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)の松井博志国際協力本部副本部長、労働者側正理事として桜田高明連合国際顧問がそれぞれ再選されました。日本政府は、ブラジル、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、ロシア、英国、米国と共に、十大産業国として常任理事となっています。
結社の自由委員会の報告書を承認
理事会はILOの民間部門との関与拡大に向けた戦略など幅広い事項について検討を行い、公務員制度改革に関して日本労働組合総連合会(連合)及び全国労働組合総連合(全労連)が提起した日本の案件(第2177号及び第2183号)を含む世界各地から寄せられた結社の自由の侵害に関する申し立て29件を審議した結社の自由委員会の第372次報告書を承認しました。9度目の中間報告となる日本の案件について、委員会は、申立団体及び政府から寄せられた「国家公務員法等の一部を改正する法律案」の国会提出などの最新の動きに関する情報に留意し、申し立ての提起から10年以上が経過したにもかかわらず、具体的な措置が講じられていないことを遺憾とし、消防職員と刑務所職員への団結権・団体交渉権の完全な付与などといった従来の勧告に沿って、関係する社会的パートナーと協議の上、公務員の労働基本権確保に向けて必要な措置を遅滞なく講じることを政府に求め、必要な改正法案が遅滞なく国会に提出されることへの期待を表明しています。また、日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)など関係組合が提起した国家公務員や労働者健康福祉機構、複数の国立大学法人における賃金カットを巡る訴訟の成り行き、労働基本権付与の代償措置として機能する人事院の賃金勧告権限が弱められつつあることへの懸念が表明されている現在の状況下での人事院の機能とその改正提案に関する情報提供を求めています。
理事会に報告書を提出するに当たり、委員会の労働者側スポークスパーソンを務めるイブ・ベイリエ理事は、委員会が労働組合活動家の生命や安全が脅かされている特に重大な案件に重点を置いていることに注意を喚起して世界中の労働者にとってのその活動の重要性に光を当てました。そして、委員会の勧告は、例えば、日本の公務員の労働基本権問題(第2177号及び第2183号案件)やスト権、団結権、団体交渉権に対する法的制約が問題になっているエジプトの案件(第3025号案件)などのように法律に関連して、あるいはトルコ航空によるスト参加従業員解雇の問題(第3011号案件)のように企業レベルで、または電力部門の団体交渉への政府の不当介入が申し立てられているノルウェーの案件(第3038号案件)のように特定産業部門に関してなど、結社の自由と団体交渉の権利行使の完全な尊重を再確認する必要性に直面している政府の行動を刺激することを目指している点に改めて注意を喚起しました。委員会の使用者側コーディネーターを務めるピーター・アンダーソン理事は、ベネズエラ最大の使用者団体であるベネズエラ商業・生産協会・会議所連盟(FEDECAMARAS)の社会対話からの排除という政府によるはなはだしい権利侵害(第2254号案件)が再び確認されたことを遺憾とし、即座の是正を求めました。そして、今回の委員会報告書に記されている結社の自由の権利とは、「ILOの価値に同意する者たちにとっては譲れない権利であるだけでなく、労働組合同様、使用者団体も等しく求める権利」であると唱え、少数民族をどう遇しているかが国を測る一つの尺度になり得るのと同様に、「意見を異にする者の手にあるこれらの権利を国家がいかに認めるか」は、結社の自由に対する政府の約束度合いを測る一つの尺度になると説いています。
結社の自由委員会は、政労使の正副理事3人ずつ各側6人のILO理事と独立した個人である委員長の計19人で構成されています。1951年の委員会創設時から数えて3人目になる委員長として2002年6月からその任にある元アムステルダム大学学長のパウル・ファン・デル・ハイデン教授は、その普遍性、確実性、一貫性を確保するために「結社の自由委員会の決定と原則のダイジェスト」に導かれて活動を行う委員会が世界中の労使のこの基本的人権の擁護において演じている決定的に重要な役割を強調し、企業による反組合的差別行為の申し立てに対して適切な是正措置が講じられたガボンの案件(第2914号案件)や労働組合活動家に対する暴力加害者の刑事責任を問う有罪判決が出されたコロンビアの案件(第1787号事件)など、委員会の勧告の実行に向けた政府の取り組みを歓迎すると共に、国内で円滑な解決が図れるよう国内レベルでの中立的かつ独立した申し立ての迅速処理メカニズムの育成に向けてILOが続けている支援に対する委員会の支持を表明しました。
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以上はジュネーブ発の次の英文記者発表2点の抄訳に日本関連事項を盛り込んだ記事になっています。