第18回ILO米州地域会議

第18回ILO米州地域会議開幕:米州の優先事項はインフォーマル経済のフォーマル化

2014年10月13日

◎米州の優先事項はインフォーマル経済のフォーマル化と説くライダー事務局長

第18回ILO米州地域会議開幕に先立ち、ティノコILO中南米・カリブ総局長と共に記者会見に臨んだライダーILO事務局長

 10月13日から4日間の日程でペルーの首都リマにおいて第18回ILO米州地域会議が開催されます。会議には米国、カナダ及び中南米・カリブ諸国の政府及び労使団体代表に加え、欧州5カ国、様々な国際機関、非政府組織(NGO)の代表が参加し、2010年の前回会議以降にこの地域で起こった仕事の世界に係わる変化と進展状況について検討を行います。会議の一環として、「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)、生産性、包摂的な社会を通じた持続可能な開発」と「インフォーマル経済からフォーマル経済へと向かう公平に至る道」のそれぞれをテーマに関する特別対話も開かれます。

 開幕に先立ち、エリサベチ・ティノコILO中南米・カリブ総局長と共に記者会見に臨んだガイ・ライダーILO事務局長は、下降傾向にあるものの約47%と、依然非常に高い米州の平均インフォーマル就業者比率が示すように、米州はなおも「世界で最も不平等な地域」であると指摘して、労働力のフォーマル化を地域の優先事項とすべきことを訴えました。さらに、貧困との闘いにおける飛躍的な進展や低下を続けている都市失業率(2013年に6.2%)など、雇用面での地域の進展を挙げつつも、米州のみならず世界的な規模での経済の失速が労働市場に確実に影響を与えるであろうことに注意を喚起しました。また、児童労働との闘いを中心に、労働者の基本的な権利の促進に向けて地域で見られる進展に触れつつ、社会対話など他の課題が依然残っていることに言及し、「経済競争力と生産性の向上に向けて構造改革が必要なことに関し、域内外で大いに議論が見られる現在、政府、使用者、労働者の間の対話はこれらの分野における改善を促進する上での障害ではなく、手段であることを理解することの大切さ」を強調しました。

◎社会正義に向けた取り組みを米州政労使に呼びかけるILO事務局長

ライダーILO事務局長とペルーのウマラ大統領(写真右)

 ライダー事務局長は開会式において、「失業は単に最も目に見える労働分野の課題に過ぎない」として、仕事の量ではなく、質の問題であるところの「インフォーマル性」こそを地域に非常に関係する問題に挙げ、「持続可能で公平な開発の未来に向かう道に横たわる避けられない大きな課題」をインフォーマル経済が提示していることを指摘しました。そして、「仕事のフォーマル化が成長、包摂的な社会、持続可能な開発」につながることは「すべての国に通用する真実」であると説き、フォーマル化を前進させる鍵を握る手段として「社会対話」の重要性を強調し、地域に対話文化を回復し、強化するには、「労働における基本的な原則と権利の完全な尊重」を常にこの対話文化の特徴とすべきことを訴えました。

 事務局長はまた、域内諸国の政府と労使団体の間に、ディーセント・ワークを目標に据えてインフォーマル性の問題に取り組み、若者の雇用条件を改善することに向けた総意が存在することを紹介し、生産的な雇用とディーセント・ワークを2015年以降の開発課題に掲げられる目標に含むことを目指して先月ニューヨークで発進した「ディーセント・ワークの友」イニシアチブへの参加を域内諸国に呼びかけました。そして、しつこく存在する不平等に立ち向かい、社会正義に向けて取り組むことを求めました。

 同じく開会式に出席したペルーのオヤンタ・ウマラ大統領は、「ILO創設以来掲げられてきた諸原則に従って労働条件を定め、ディーセント・ワークを創出することを奨励する取り組みを実効的に継続するには、誰も置き去りにしない包摂的な公共政策を通じて不平等の問題に緊急に取り組む必要がある」と説き、これは、「労働市場における新たな均衡の達成に向けて、労働者及び企業にとってより公平・公正な形で、この目的のための新たな仕組みの創設またはそのための改善」を行うことを伴うと指摘しました。

◎児童労働に対する取り組みの倍加を宣言する中南米・カリブ諸国

 会議に出席していた中南米・カリブ25カ国の労働大臣、政府代表、ライダーILO事務局長は、14日に児童労働に対する取り組みを増進し、2020年までの全廃という目標の達成に向けた地域イニシアチブの開始を発表する宣言に署名しました。

 児童労働者数は近年減少を見せているものの、今日でもなお世界全体で1億6,800万人を数え、今の減少速度では完全な消滅までに少なくとも40年かかると見られます。2016年までに最悪の形態の児童労働を根絶し、2020年までにすべての形態の児童労働をなくすことを目指している中南米・カリブ諸国ですが、目標の達成は困難と見られ、今でも1,250万人の児童労働者が存在し、この大半の950万人が危険で有害な労働に従事していると推定されます。2013年10月にブラジリアで開かれた第3回児童労働世界会議の際に、この歩みの遅さに対する懸念を共有した複数の国が参加して、中南米・カリブ地域を最初に児童労働から脱する途上国地域にすることを目指して「児童労働のない中南米・カリブ地域イニシアチブ」が開始されました。行動メカニズムの強化と好事例の発掘に向けた複数の指示を含むこのイニシアチブは、児童労働の撤廃と防止を加速させることを目指しています。

 今回リマで署名された宣言は、撤廃目標達成に向けた固い約束を表明し、政府間協力の強化を基礎とした一連の公約を定めています。宣言は、なかなかなくならない児童労働、とりわけ最悪の形態の児童労働は、社会の不平等を悪化させる要素の一つであり、これは社会及び経済の脆弱性を深めると記しています。

 第18回ILO米州地域会議の議長としてこのイニシアチブを発表したペルーのフレディー・オタロラ労働大臣は、イニシアチブについて、「中南米・カリブの私たち皆を結びつける」と評しています。

 米州諸国より労働問題担当大臣その他の政府代表及び労使団体代表450人以上が参加して開幕した第18回ILO米州地域会議では、10月16日の閉会まで、インフォーマル性に加え、若者の就業、社会保障、労働分野の制度及び労使団体の強化、労働者の権利に係わるさらなる進展の必要性、持続可能な企業の振興、社会対話の課題なに関する話し合いが行われます。

 アジア太平洋、米州、アメリカ、欧州の四つの地域ごとに域内加盟国の政労使が集まって地域の労働問題について話し合うILOの地域会議は原則として毎年一つずつ順番に開かれます。最初の地域会議は1936年に米州で開催されました。

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 以上はILO中南米カリブ総局による次の三つのリマ発英文記者発表の抄訳です。

  1. 2014年10月13日付記者発表-米州の優先事項はインフォーマル経済のフォーマル化と説くライダー事務局長
  2. 2014年10月13日付記者発表-社会正義に向けた取り組みを米州政労使に呼びかけるILO事務局長ILO事務局長、ペルー大統領の演説動画入り西語版
  3. 2014年10月14日付記者発表-児童労働に対する取り組みの倍加を宣言する中南米・カリブ諸国