HIV/エイズ
VCT@WORK2016年次活動報告-農場、鉱山、美容院など職場におけるHIV検査の利用者は410万人超
2017年10月17日
ILOが国連合同エイズ計画(UNAIDS)、国際使用者連盟(IOE)、国際労働組合総連合(ITUC)と共に2013年に開始した「職場における任意のカウンセリング・検査(VCT@WORK)イニシアチブ」の下、2016年末までの3年間で、カンボジア、中国、グアテマラ、モザンビーク、ウクライナなど世界18カ国で600万人以上の労働者にエイズウイルス(HIV)に関する情報が提供され、うち410万人以上の労働者とその家族がカウンセリングと検査を受け、陽性と判断された10万3,000人以上に抗レトロウイルス療法の機会が紹介されました。このたび発表されたイニシアチブの2016年次活動報告によれば、2016年だけで120万人以上にHIVに関する情報が提供され、110万人が検査を受け、陽性と判断された1万7,700人以上に治療が紹介されたとされます。
イニシアチブは鉱業や運送、建設、保健、観光部門など、HIVの負荷が高い産業部門の労働者を含む、最も危険度が高い集団に焦点を当てて活動を展開しています。移民や非公式(インフォーマル)経済で働く人々の検査活動にも重点が置かれています。キャンペーンの必要不可欠な部分として、労働者とその家族に検査を受けることの利益とHIV感染が判明した場合の権利について情報提供が行われています。HIV検査を受けることに伴う不名誉感を取り除き、任意のカウンセリング・検査を受ける人が増えるよう、複数の疾患をまとめた総合的な取り組みの中で検査を受けることが促進されています。
「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で目指されているように2030年までにエイズを終結させる目標を達成するために、HIVの検査と治療におけるギャップを縮小する世界的な努力の重要な一部と見られているこのイニシアチブは、美容院や農場、トラック運送、鉱業、娯楽など多様な産業で、政府や労働組合、使用者、国内のエイズ計画、HIV感染者団体といった幅広いパートナーと協力して展開されています。イニシアチブに従事する主導的な企業の一つとして、石炭を取り扱う公的部門の企業としてはインド最大のインド石炭公社(CIL)を挙げることができます。31万4,000人の従業員と多数の請負労働者を擁するCILの従業員とその家族計2万9,580人がHIVのカウンセリングと検査を受け、陽性と判断された141人全員に会社から抗レトロウイルス療法の機会が提供されました。
VCT@WORKの促進には官民連携が効果的に用いられてもいます。例えば、インドネシアでは最大手国有企業の一つであるプルタミナ社がILOと連携し、HIV感染者に差別のない職場環境を確保するための職場内ポリシーを作成した上で、国内すべての作業場で労働者にHIVに関する情報とカウンセリング、検査の提供を始めました。ロシアでILOは国内最大手の鉱業会社シベリア石炭エネルギー会社(SUEK)及び各連邦管区のエイズセンターと連携し、広報啓発活動を行いました。SUEK社は国内拠点全8ヵ所で事業計画を実施し、労働者とその家族、地域社会に手を差し伸べました。
インフォーマル経済で働く人々に到達するため、ジンバブエでは自動車修理工場や食品加工事業単位、のみの市などの非公式部門(インフォーマル・セクター)の作業現場でHIVの検査とカウンセリングが実施され、移動式設備を通じた任意のカウンセリング・検査業務の提供も行われました。さらに、地方公共団体や市議会と連携して地元の建造物を用いてインフォーマル・セクターの事業者を通じた労働者の動員も図られました。
ケニアでILOはケニア労働組合中央組織(COTU-K)、ケニア長距離トラック運転手関連労働者組合のハイウェー・コミュニティー保健リソースセンター、スウェーデン職場HIV/エイズ計画と協力して北部の交通回廊に沿って性産業歓楽街でトラック運送業者向けにHIV検査・カウンセリング業務を提供しています。
イニシアチブが学んだ教訓としては以下のようなものがあります。
- このイニシアチブは男性の間でHIV関連サービスに対する需要を喚起する良いモデルになり得ること
- 職場の同僚が教育者となることによって、任意のカウンセリング・検査を促進する上で効果的な役割を演じられること
- 幅広い健康促進計画の傘の下での検査はHIV検査を受けることに伴う不名誉感を低減させること
- 官民連携はHIV検査の規模を拡大できる大きな潜在力を秘めていること
ILOでこのイニシアチブを担当するサイド・モハンマド・アフサル職員は、「インフォーマル経済で働く人にとってHIV検査を受けることは、交通費の支出に加え、少なくとも1日の収入の半分を失うことを意味するため、VCT@WORKイニシアチブはこのような根源的な原因に取り組み、人々の生活・労働拠点の近くにサービスをもっていきました。このイニシアチブはまた、まだ十分にエイズ対応策の対象となっていない人々にHIVサービスを届ける効果的な方法であることが示されました」と説明しています。
* * *
以上は次の2点の2017年10月17日付ジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。