IMF/世界銀行グループ年次会合

IMF/世界銀行グループ年次会合向け声明で貧困と不平等の縮小、低成長の悪循環を打破するカギはディーセント・ワークと説くライダーILO事務局長

2016年10月07日

 10月7~9日の日程で米国ワシントンDCにおいて国際通貨基金(IMF)と世界銀行グループの2016年年次会合が開かれています。8日に開かれる開発委員会及び第34回国際通貨金融委員会に向けた声明でガイ・ライダーILO事務局長は、世界金融危機から8年経って世界経済はまだ完全に回復しておらず、成長を後押しし、より包摂的なものとする調整を図った行動を緊急に講じない限り、低成長の悪循環に陥り続ける危険性が高いと指摘し、この罠から抜け出し、投資増、生産性上昇、持続可能な企業と賃金・消費の成長といった好循環を再び駆動させるには、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の機会の拡大と賃金改善がカギを握ると訴えました。

 事務局長はまた、危機前の成長が再開されたとすれば仕事に就いていたであろう人が今は世界全体で7,000万人を超えるものの、最新の成長見通しの下方修正によってこのような人々が2020年までに8,000万人を超える可能性、危機の間に急落した世界的な実質賃金の伸びが2010年にいったん回復した後に再び減速していますが、最も高い賃金成長を示した中国を除くと危機年間の賃金成長は年1%を下回っていたこと、世界28カ国の調査によれば15~29歳の若者の4分の1が就職も就学も訓練受講もしていないニート状態にあり、不完全就業、技能劣化、就職をあきらめるといった危険な状態にあること、途上国・新興経済諸国では働いている若者の38%に当たる1億5,600万人が極度のまたは中程度の貧困状態にあると推定されることなどを指摘して、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の掲げる諸目標を達成するために働かなくてはならない世代の潜在力が浪費されている現状に注意を喚起しました。

 さらに、2015年に女性の労働力率が世界平均で49.6%(1995年52.4%)に低下したこと、世界的に女性の賃金は男性の77%であることを挙げて、世界の労働力の生産潜在力を高め、労働市場の構造改革を進める上での最優先事項は、「職場における男女平等と男女が共に職場における責任と家庭責任を両立できることへの投資」であると強調しました。

 ライダー事務局長はまた、ILOと世界銀行の関わりとして、普遍的社会的保護を提供できる国の数を増やすことを両機関共有の目的として各国の持続可能で普遍的な社会的保護制度の設計・実行を支援していること、衣料品のサプライチェーン(供給網)を対象に世界8カ国で展開されているILOと国際金融公社(IFC)の共同事業であるベターワーク(より良い仕事)計画が不正な職場慣行を減らし、生産性と賃金を押し上げ、過度の長時間労働を削減し、工場の外でも労働者とその家族に好影響を与えるという成果を示していること、世界銀行のプロジェクトの中で各国の労働基準実施能力の構築を両機関で共に支援する方法に関する有益なテンプレートを提供するものとして、現在進行中のウズベキスタンの綿花収穫における児童・強制労働協同監視の取り組みにおける成功を紹介しました。

 事務局長はさらに、国際貿易や投資に対する市場開放によって推進されている雇用構造の大幅な変化に言及し、労働者の流動性を緩和し、訓練を増し、持続可能な賃金設定を促進し、十分な社会的保護を確保し、労働条件を改善し、国際労働基準の尊重を高めるには、「労働市場関連機構の強化が要請される」と訴えました。そして、結社の自由や差別撤廃、児童・強制労働禁止といった、就労に係わる基本的な原則と権利に関するILO条約がほぼすべての国に受諾されていることは、これらの基準が「職場における公正処遇についての世界が認める基本線及び労働条件と持続可能な開発に取り組む出発点」となることを許したとして、広く批准されているこれらのILO条約は「投資と貿易に関する国際的な統治の仕組みの重要なベンチマーク」である点に注意を喚起しました。

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 以上はワシントン発英文記者発表の抄訳です。