ヨルダンのシリア難民
ILO調査結果発表:ヨルダンに住むシリア難民は就労許可を歓迎、しかし課題は残る
2017年06月28日
ヨルダンでは現在、130万人近いシリアからの難民が暮らしています。このうち、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に難民として登録されているのは65万7,000人です。難民の大半は都市部に住んでいます。
ヨルダン政府は2016年にロンドンで開かれたシリア・ドナー会合で、欧州市場参入の改善、長期低利貸付、外国投資増を受ける見返りとして、特定職業へのシリア人の就労を許可することに同意する盟約を提出しました。これに従い、ヨルダンは就労許可手続きを簡略化し、特定の期間、シリア難民に就労許可を無料で発行することに同意しました。政府発表によれば、この結果、2015年12月に4,000件であったシリア人の就労許可取得件数が急増し、2016年12月には約4万件に達したとされます。
ILOはUNHCRとの密接な協力の下、ヨルダンで暮らすシリア難民に就労許可の取得が与えた影響を調べる調査を行い、このたびその結果を発表しました。農業、建設業、サービス業を中心とした産業で働くシリア人労働者とその使用者、そして難民社会の指導者で構成されるフォーカスグループとの話し合い、現地協議、450件の質問票回答を元ににまとめられた報告書『Work permits and employment of Syrian refugees in Jordan: Towards formalising the work of Syrian refugees(ヨルダンにおけるシリア難民の就労許可と雇用:シリア難民の労働公式(フォーマル)化に向けて・英語)』は、就労許可はヨルダンで働くシリア難民労働者の大半に安定感と安心感を与えているものの、その全体的な労働条件の改善についてはまだ多くの努力が必要であることを明らかにしています。
就労許可の取得は、シリア難民に、より良い正規の雇用機会と賃金上昇をもたらしました。UNHCRのラウラ・ブッフォーニ上級生計担当官は、難民から聞いた話から判断されることとして、ヨルダンの就労許可が難民にはるかに大きな保護を与え、難民の感じる快適度が上昇したのは確実として、「仕事は尊厳だけでなく、家族に資金・資源を追加するもの」と評価しています。
調査によれば、就労許可を得て働くシリア人の収入は許可を得ていないシリア人よりも多く、調査回答者の約2割が就労許可は労働者としての権利を保護してくれたと回答しています。この他の人々も就労許可は雇用の安定性や雇用機会の拡大につながったと感じており、就労許可は何の役にも立たないと考える人はほんの少数でした。
この調査研究は、ヨルダンが盟約を結んでから1年が経った現在、就労許可取得の有無にかかわらずシリア人労働者の状況がどう変わったか、そして就労許可がシリア人の労働条件に影響を与えたか否かを理解するために実施されました。ヨルダンにおけるILOのシリア難民対応活動の調整官を務めるマハ・カッターは、「就労許可が必ずしも自動的にディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の状況を意味するわけではないものの、労働者の公式化とより良い労働条件に向けた一歩」と評価しています。
報告書は労働安全衛生措置や労働時間、社会保障といった労働条件はまだ改善の必要があることを示しています。就労許可の取得を報告するシリア人回答者の大半が社会保障の適用を受けておらず、就労許可の有無を問わず、シリア人労働者全体の約64%が労働安全衛生措置が不十分であることを報告しています。
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