多国間協力

ILO等5国際機関トップがメルケル独首相と会談:包摂的で持続可能な経済開発の醸成に向けた緊密な協働を約束

2017年04月10日

メルケル独首相(手前)と会談する5国際機関トップ:左からアゼベドWTO事務局長、キム世界銀行総裁、ラガルドIMF専務理事、グリアOECD事務総長、ライダーILO事務局長 © bundesregierung.de

 2017年に主要20カ国・地域(G20)会合の議長国を務めるドイツのアンゲラ・メルケル首相は4月10日に経済協力開発機構(OECD)のアンヘル・グリア事務総長、国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事、世界銀行のジム・ヨン・キム総裁、ガイ・ライダーILO事務局長、世界貿易機関(WTO)のロベルト・アゼベド事務局長という5国際機関のトップと会合を持ちました。会談後に出された共同記者発表文は、共通の取り組みとしての国際経済政策協力の過程で各国政府、国際機関、その他の利害関係者間のつながりが強化されたとして、その成功を認めた上で、地球規模の課題を取り上げ、新たな基準を定め、成長の展望を改善するには引き続きの取り組みが必要としています。そして、ドイツがG20の議長国となっている2017年は、経済、金融、気候、貿易、保健、雇用、社会、開発の諸政策の緊急事項及びそれ以外の現下の地球規模の課題に取り組み、グローバル化と技術変化の利益が共に高められ、より幅広く分かち合われるような形で共に活動する重要な機会を提供するものと位置づけ、乏しい公的資金にてこ入れし、民間財源を動員し、持続可能で包摂的な経済開発の醸成に向けて密接に協力し合うとの目標を掲げています。

 2016年に3.1%の成長を示した世界経済は今年再び活力を取り戻して3.4%の成長を示し、2018年には3.6%の伸びを記録すると予想されます。ユーロ圏では景気回復の勢いが増し、米国では予想される財政措置が成長を刺激すると期待される一方、世界の成長の最も大きな割合を占め続けている新興市場諸国は厳しい国外情勢に直面しており、強靱性を高めるためには何らかの行動が必要です。債務の持続可能性を確保するために信頼のおける戦略が必要な国もあれば、一次産品の収入減に対して調整を図り、金融市場の乱高下に対処すべき国もあります。ILOは2017年に世界全体で失業者が340万人余り増えると見ています。

 WTOの新たな予測では、国際貿易の伸びは2016年に1.7%、2017年に1.8~3.1%の間とされています。このがっかりさせられる貿易成長と保護主義性向増大の危険性は、国際貿易体制をさらに一層支える明確な動機を提供してくれています。成長の刺激を世界中に広げ、グローバル・バリューチェーン(世界的な価値連鎖)の効率的な操業を許し、幅広い雇用・消費機会を創出するには、国際貿易と開かれた市場が必要です。本日発表されたWTO、IMF、世界銀行グループの共同報告書は、貿易の利益のより幅広い共有を確保するため、効果的な国内政策と貿易政策の決定的な重要性を説いています。また、成長に優しく包摂性を高めるような構造改革政策と財政の長期持続可能性の両方を補強する必要もあります。成長の包摂性を高めるために雇用・社会政策にもっと焦点を当てることは、回復速度を下支えし、これが全ての社会集団に届くことを確実にする助けになり得ます。

 5国際機関の協力分野としては、とりわけ、デジタル化や経済の構造変化、貿易政策の協力と調整、気候変動に対する取り組みと限られた天然資源の保護、グローバルな課題へのグローバルな解決策としての「持続可能な開発のための2030アジェンダ」、難民・移民が挙げられています。そして、生産性の伸びに拍車をかけ、デジタル化の利益を獲得するには、若年者雇用、社会的包摂、男女平等、デジタル基盤構造へのアクセスなどに関するイノベーション(革新)に推進された包摂的な成長を支える製品・労働市場・社会政策を緊急に策定する必要性が指摘されています。

 記者発表文はまた、経済の構造変化は経済だけでなく、仕事の世界の変容でもあると記し、勤労生涯全体を通じた労働者の技能開発と訓練、仕事の組織に関する柔軟で革新的な取り組みを含んだ労働市場・雇用政策の必要性を指摘し、この点で、女性や若者などといった、労働市場における代表性が低い集団の包摂と雇用を後押ししつつ、労使双方のニーズを考慮に入れた革新的かつ柔軟でスマートな政策の策定を歓迎し、貧困やなかなか解消しない不平等、失業を減らし、質の高い仕事を促進するためには、ILOの「仕事の未来100周年記念イニシアチブ」のような国際的なイニシアチブや協力が根本的に重要としています。また、持続可能なサプライチェーン(供給網)の推進に関連し、OECDの多国籍企業行動指針やILOの多国籍企業宣言などの文書を基礎とした責任ある事業行動強化に向けて進行中の取り組みを奨励しています。

 国際社会にとっての大きな課題である大規模な難民と移民の動きについては、責任分担の精神をもって取り組む必要性を指摘し、最近の大規模な人の動きの根本原因に取り組み、難民と移民の人権を保護する必要性を強調しています。また、人の移動の利益を摘み取るには、人の移動のより良い管理を達成し、密入国業者に主導された違法な国境横断を合法的な経路に置き換え、移民及び難民の労働市場への統合を育むことが決定的に重要として、この目的に向けた国連による「安全で秩序だった正規の移住のためのグローバル・コンパクト」や「難民に関するグローバル・コンパクト」の採択に向けた動きを歓迎しています。

* * *

 以上はベルリン発ILO/OECD/IMF/WTO/世界銀行英文共同記者発表の抄訳です。