ILO新刊:職場における暴力

ILO新刊:職場における嫌がらせ対策を差別に対する戦いの一部に

2018年09月27日

 フランスではほぼ4人に1人が、自らのジェンダー、性的指向、人種、宗教、障害あるいは健康状態を理由として職場で嫌がらせ(ハラスメント)を受けた経験があることが、このたびILO駐仏事務所がフランス政府の権利擁護機関と共同刊行した調査結果から明らかになりました。2018年9月27日に発表された、権利擁護機関が2016年に実施した調査結果を記した年次報告書『Baromètre de la perception des discriminations dans l'emploi(職場における差別知覚バロメーター・仏語)』第11号は、職場で品位を傷つけられるような態度を受けた覚えがある人は男女であまり差がなく、調査対象者のうち男性の33%、女性の32%が過去5年間に不当におとしめられたように感じたことがあることが示されました。

 フランス人口の代表標本を対象とした調査からは、非白人で年齢18~44歳の女性の54%、女性障害者の43%が不名誉な言葉や態度の標的になったと感じているといったように、このような扱いに特に弱い特定の社会集団の存在が明らかになりました。年齢35~44歳の白人男性はそのように感じたことがほとんどない(11%)のに対し、同性愛者や両性愛者の男性では40%、黒人またはアラブ系の若者男性の40%が女性と同じくらいの量の品位をおとしめるような言葉や態度を経験しているとされます。調査からはこのような差別的な態度は公的部門27%、民間部門25%、自営業者22%といったように、あらゆる部門で感じられていることが示されています。

 報告書が見いだした主な事項を発表したILO駐仏事務所のシリル・コスム所長は、「ここで指摘されているのはその場限りの単発的な事例ではなく、ほとんどの場合、このような事態は職場における敵対的な雰囲気の中で起こり、繰り返される差別と品位をおとしめるような態度が含まれ、これが差別的な嫌がらせにつながっています」と指摘します。

 報告書によれば、このような事態は職場でしばしば軽く扱われ、加害者は「冗談を言っているだけ」と主張する場合が多いとされます。バロメーターは嫌がらせと差別の関連性を確立し、被害者は法廷や権利擁護機関を通じて是正を求めることが出来ると結論づけています。そして、ジェンダーや性的指向、人種、宗教、障害、あるいは健康上の理由に係わる攻撃的な言葉や態度に対しては、包括的な防止戦略を通じて取り組む必要性を指摘しています。

 ILOは現在、職場における暴力やハラスメントに対する政府の戦いを支援する目的で拘束力のある条約と勧告の形態の新たな国際基準の設定に向けた手続きを開始しました。暴力とハラスメントに終止符を打つことを目指すこのILOの基準設定プロセスにフランスの政労使は密接に関与しています。コスム所長は、「このバロメーターが扱っているのはフランスの事例ですが、このような態度は一国だけに限られるものではありません」として、「ILOが創立100周年を迎える2019年は、労働者の保護を広げるには特にふさわしい時」と説いて、来年のILO総会で基準が採択されることへの期待を示しました。

 以上はパリ発英文記者発表の抄訳です。