ILO新刊:中南米・カリブの労働概観
ILO新刊:低下を続ける中南米・カリブの失業率、2015年は上昇か?
2014年12月11日
12月11日に発表されたILOの新刊書は経済成長の鈍化にかかわらず、失業率が下がり続けている中南米・カリブの異常な状態を示しています。国際通貨基金(IMF)は同地域の今年の経済成長予測を1.3%に下方修正しましたが、ILOの年次刊行物『Panorama Laboral de América Latina y el Caribe(中南米・カリブの労働概観・西語)』2014年版は、2014年第3四半期に6.2%を記録した中南米・カリブ地域の都市部失業率は今年末に前年より0.1ポイント低い6.1%に達すると見ています。しかし、2014年第3四半期に前年同月より0.4ポイント下がり、55.7%となった就業率に反映されているように新規雇用の創出スピードにはブレーキがかかっています。
失業率の低下が続いている理由として、報告書は、労働力率の低下に反映されているように女性と若者を中心に労働市場を去る人が多いことを挙げ、さらに、労働力率は底を打ったように見えるため、来年は2.2%とわずかな回復が期待されるものの、相変わらず低い経済成長の中で労働力率が反転することによって都市部失業率は6.3%に上がると予想しています。メキシコ市で報告書を発表したエリサベチ・ティノコILO中南米・カリブ総局長は、失業率が低水準に留まる中で創出される仕事が減ってきている状況に対して懸念を表明し、2014年に一時的に労働市場を去った人の多くが来年は職探しを再開すると見込まれる中、新たに労働市場に加わる若者の増加分を相殺するためだけでも今後10年にわたって5,000万人分近い雇用を創出する必要があることを指摘しています。
域内諸国の状況は様々で、景気下降の影響も均一ではありませんが、2013年に2%を記録した公式平均賃金の成長率は2014年第3四半期に1.7%となり、2012年に6%、2013年に2.9%の上げ幅を記録した最低賃金も2.1%(2014年第3四半期)しか引き上げられませんでした。地域の失業者全体の4割を占める若者の都市部失業率は前年の14.5%から14%に下がったものの、依然としてより年長の労働者の2~4倍になっています。女性の労働力率は上がったものの、まだ男性の7割程度であり、女性の失業率は男性より3割程度高くなっています。
中南米・カリブ地域は10年にわたって相当の経済成長を享受し、失業率は記録的な低さまで下がり、仕事の質は向上しました。しかし、今後数年にわたって成長が弱いままであるとの予測のもと、これ以上の進展が望めない可能性あるいは趨勢の逆転を懸念する声が聞かれます。また、都市部労働者の47%がインフォーマル経済で働くこの地域では、低成長の中ではとりわけ雇用の質の点で、残された課題に取り組むことが一層難しくなると思われます。そこで、労働市場を通じた経済と社会への包摂を育むためには、この地域は、経済の生産的な変化と成長を推進するよう戦略を再考するという大きな課題に直面しているとティノコ総局長は指摘しています。ILOは、雇用を刺激し、個人所得を保護する特別の措置を講じる必要が生じる労働市場現出の可能性に備えるよう域内諸国の注意を喚起しています。
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以上はメキシコ市発英文記者発表の抄訳です。