ILO新刊:スペインの雇用

ILO新刊:スペインの課題は良質の仕事を伴った成長

2014年09月29日

 輸出に主導されたスペインの経済は現在回復に向かっており、今年の経済成長は1.5%と予測されていますが、このたび発表されたILOの新刊書は、依然として深刻な失業問題を解決する補足的な措置の必要性を説いています。公平性を伴った成長研究シリーズの一書として発表された『Spain: Growth with jobs(スペイン:仕事を伴った成長・英語)』は、いわゆる「雇用なき成長」状態を回避するために協力し合って雇用行動計画を策定することを政府及び労使団体に呼びかけています。

 スペインの失業率は2014年第2四半期に24%超と相変わらず最高記録を更新し続けており、25歳未満の若者の失業率は50%超と、欧州連合(EU)諸国ではギリシャに次ぐ高さになっています。求職者の60%以上が1年以上、42%が2年以上の長期失業者であり、多くの求職者が非労働力化する危険が高くなっています。報告書を監修したレイモン・トレスILO調査研究局長は長期失業が貧困水準と社会的排除に与えるマイナスの影響を指摘しています。現在、1人以上の世帯員が失業している世帯は450万を数え、このうち50万世帯ほどは全く収入がないと見られます。

 ガイ・ライダーILO事務局長は、景気回復がようやく幾分の雇用増につながり、2014年上半期に正味20万人分以上の仕事が新規に創出されたことを「非常に良いニュース」と歓迎しつつも、2007年より8%低い国民平均所得を挙げて成長が不完全なことを指摘し、前年同期比1.3ポイント増を記録した2014年第2四半期のような高い雇用創出ペースが維持されたとしても2007年の雇用水準に戻るのは2023年になるとの見通しを示しています。

 報告書は包括的な雇用政策が緊急に必要として、雇用展望を改善するためにまず求められるのは、新しい成長モデルへの移行を円滑化する経済戦略、そして企業育成に資する形での信用融資制度の改革と説いています。トレス局長は、スペインで活発に見られる起業の試みを育み、良質の仕事を伴った成長のために必要な中規模企業ネットワークの形成に向けた潜在力を解き放つことが繁栄を相当に増進する可能性を指摘しています。

 報告書は次に必要なものとして、公共職業安定業務の強化や生産性の伸びと歩調を合わせた賃金成長といった、良質の仕事の創出を刺激する一連の政策を挙げています。そして、労働改革が開始されて以来雇用の質が悪化の一途をたどっていることや低賃金雇用が増えていることを指摘して、雇用の質を高める必要性を強調し、労働市場改革の再評価を提案し、採用奨励金や技能訓練に関する自治州の積極的公共政策の設計を改善できるであろう方法を示しています。さらに、金銭的な保証のない失業世帯向けの大規模公共事業計画などの社会的保護措置を提案しています。また、雇用成長や社会開発を支援するものとして政労使三者構成の機関の設立を検討し、良質の仕事を伴った成長という新たな路線に関する対話を増進する取り組みにおいてILOには政労使を支援する用意があると記しています。

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 以上はマドリード発英文記者発表の抄訳です。