ILO新刊:HIV/エイズ

ILO新刊:アフリカの職場における効率的かつ持続可能なHIV対応に向けて

2015年04月23日

 予防、治療、ケア活動の強化により、近年、エイズウイルス(HIV)の新規感染者もエイズを原因とする死亡者の数も減ってきていますが、サハラ以南アフリカには依然としてHIV感染者全体の7割に相当する2,470万人が暮らしています。このたび南アフリカのヨハネスブルグにおいて同国のミルドレッド・オリファント労働大臣の手によって発表されたILOの新刊書『Effective responses to HIV and AIDS at work: A multi-country study in Africa(職場におけるHIV及びエイズに対する効果的な対応:アフリカ複数国研究・英語)』は、アフリカ10カ国(コートジボワール、ガーナ、ケニア、マダガスカル、モロッコ、モザンビーク、ナミビア、セネガル、南アフリカ、ザンビア)のHIV及びエイズに関する職場イニシアチブを包括的に評価し、これを国のエイズ計画や保健分野の幅広い取り組みに組み込むべきことを説いています。

報告書発表会。写真左より国連合同エイズ計画(UNAIDS)東・南部アフリカ地域支援チームのビズウィック・ムワレ戦略的介入活動上級顧問、南アフリカ国家エイズ協議会のザック・ヤコブ評議員会議長、ビック・ヴァン・ヴーレンILOプレトリア事務所長、ミルドレッド・オリファント南アフリカ労働大臣、バネッサ・ファラ南アフリカ・ビジネス連合(BUSA)局長、フランス・ファラーン南アフリカ組合連盟(FEDUSA)代表

 フォーマル/インフォーマル・セクターの官民両部門にわたる計66の職場における調査研究をもとにまとめられた報告書は、危険な行動様式の削減や任意のカウンセリング・検査などのサービスの利用促進に対する職場内HIV計画の影響力を調べ、経営陣の決意をはじめとするこのような影響をもたらした要素に光を当てています。また、HIV対応をより効率的なものとし、その持続可能性、スケールアップ、国の主体性確立に寄与する上での職場内イニシアチブの進展、課題、機会を取り上げています。

 報告書が見出した事項には以下のようなものがあります。

  • 調査対象職場の96%において、経営陣の決意がHIV及びエイズに関する知識を高める上で鍵を握る要素であったというようにリーダーシップが寄与する度合いが最も大きいということ。
  • 調査対象職場の65%近くで性交渉相手数の削減などといった危険な行動様式の変更や低減につながったことを示す確固とした証拠が得られたこと。
  • 調査対象職場の79%近くで任意のカウンセリング・検査サービスの利用増大を示す証拠が得られたこと。
  • 職場内計画がない場合のコストはある場合をはるかに上回るといったように、職場内計画には経済的な利益があること。
  • ナミビアなどで低コスト保険制度の導入が、企業が直面していた欠勤によるコスト増を抑える助けになったことに示されるように官民パートナーシップが不可欠であること。
  • 調査対象職場の96%で知識水準の変動評価・追跡、ギャップ特定、戦略再規定のためにはしっかりとしたモニタリング・評価の仕組みの樹立が必要不可欠であると立証されたこと。
  • 職場内計画がHIV関連差別の低減につながった決定的な証拠を示すことができたのは調査対象職場の14%に過ぎなかったこと。
  • 従業員の間でHIVが普通のものとして認識され、その受容を高めさせることによってHIV感染者は任意のカウンセリング及び検査の利用を増やすのに相当に寄与するといったように、調査はあらゆる活動におけるHIV感染者の有意義な関与の重要性に光を当てたこと。
  • 雇用はHIVの治療継続を強める役割があること。
  • 男性用コンドームと女性用コンドームのアクセス確保など性差に配慮した複数の戦略が把握されたこと。

 職場におけるHIV・エイズ対応の成功はアフリカにエイズのない未来を実現する上で重要です。この調査研究の最終目的は、アフリカにおけるHIV対応の現実に照らし合わせて職場内イニシアチブが効率的かつ持続可能な手段となるための速度を加速させることにあります。そこで、今回の調査によって把握されたイニシアチブが基礎とする取り組みは、以下のような点に光を当てることが望まれます。

  • HIV及びエイズに関する知識の強化・拡大に向けてすべてに通用するたった一つのやり方というのは存在しないこと。
  • 企業・組織は職場内HIV計画策定時に国の計画、戦略、政策、法を活用すべきこと。
  • 職場内計画成功の鍵はモニタリング・評価の仕組みの強化にあること。
  • HIV関連の不名誉な烙印や差別の削減にはまだ多くの活動が必要なこと。
  • エイズ対応には官民パートナーシップを拡大できる大きな潜在力が秘められていること。

 「アフリカ大陸には私たち皆が学ぶことのできる成功物語が数多くある」と説くオリファント大臣は、ILOの刊行物の発表を「誠に時宜を得たもの」と評価しました。ILOのアリス・ウエドラオゴHIV/エイズと仕事の世界部長はエイズがまだ未完の仕事であることを強調して、職場におけるHIV対応の拡大にこの調査研究が活用されることに期待を示しました。

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 以上はプレトリア発英文記者発表の抄訳です。