ILO定期刊行物『中南米・カリブの労働概観2018年版』
ILO定期刊行物『中南米・カリブの労働概観』最新版発表:中南米・カリブの失業率は2018年に7.8%へとわずかに下降
2018年12月18日
このたび発表されたILOの年次刊行物『Panorama laboral 2018: América Latina y el Caribe(中南米・カリブの労働概観2018年版・西語)』は、3年連続の伸びを示し、2017年に8.1%に達していた中南米・カリブ地域の失業率が2018年にはわずかに下がって7.8%になる予測を示しています。しかし、低成長、激しい乱高下、懸念される若者の高失業率といった状況下では、将来の動向は不確実性に包まれていると記しています。
2018年の数値は9月までのデータを元に導かれていますが、これは地域の失業者数が約2,500万人に上ることを意味しています。また、若者(14~25歳)の失業率は警戒すべき水準で、5人に1人が失業者と見られます。報告書はまた、仕事の世界における男女不平等を縮小する努力をステップアップする必要性に光を当てています。今年9月までの女性の労働力率は50.3%に留まっていますが、これは男性の労働力率を20ポイントも下回っています。同じ期間の失業率は男性が7.3%であったのに対し、女性は10%に達しています。
国別失業率は域内7カ国で下降したのに対し、10カ国で上昇が見られました。地域の失業率低下は域内経済活動人口の4割が暮らすブラジルの改善に牽引されているところが大きく、同国の失業率は0.6ポイントの低下を記録しています。
地域平均が上昇した実質最低賃金は、データが入手できた16カ国中12カ国で上昇しています。報告書は国際通貨基金(IMF)が予測する2.2%の経済成長が2019年に達成されたとしたら100万人分の雇用が新たに創出される可能性を指摘しつつも、政治や貿易、投資の変動に対する労働市場の弱さを挙げて、将来の動向は依然として不確実と記しています。
カルロス・ロドリゲスILO臨時代理地域総局長は、低経済成長下で失業率の改善もささやかだったことを挙げ、「より多くのより良い仕事を創出するスピード」を上げる必要性を指摘しています。
中南米・カリブの労働市場を追跡して四半世紀
「得られる情報を集め、比較できるように配置し、更新していく」ことを目的として1994年に創刊された本書は、2018年版で創刊25周年を迎えました。本号ではそれを記念して、25年間の歩みを振り返っています。また、産業別就業構造や賃金上昇などに関する情報も含まれています。
本書は25年間にわたり、失業その他の労働市場指標の浮き沈みを追跡し、若者の失業や高い非公式(インフォーマル)経済比率のような緊急に注意が必要なディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の不足に光を当ててきました。この年次刊行物には、就業率や失業率、労働力率に加え、賃金水準や仕事の質に関する指標も含まれています。
1994年の創刊号はわずか24ページでしたが、過去にない形で簡潔に地域の労働情勢を概括しました。本書は最初から非公式部門(インフォーマル・セクター)で働く大勢の人々に注目してきましたが、このしばしば脆弱で低収入の労働形態は今日でもなお域内に広く見られ、最新のILOの推計でも全労働力の半数近い約1億4,000万人がインフォーマル経済で働いていると見られます。
報告書は何年にもわたって、警戒すべき水準の若者の失業率、職場における男女不平等の継続、社会保障の適用不足に警鐘を発し続けてきました。2018年版の最新号でも、若者の失業率は上の世代の3倍に達することや、女性の失業率は男性の1.4倍であることが示されています。
過去の報告書は常に地域の低生産性にも光を当ててきましたが、これは労働市場の成果に重くのしかかっています。2017年の報告書で当時のホセ・マヌエル・サラサール地域総局長はこの地域が必要なこととして、「低生産性の構造上のギャップと開発及び生産の多様性の欠如」に直面することを提案しています。
1994年の創刊以来、地域は労働市場に大きな影響を与えた危機を複数経験しましたが、これには1994~95年の「テキーラ効果」とも呼ばれたメキシコのペソ危機、そしてもっと最近の2008年の金融危機などが含まれています。今日では約130ページの大部になった報告書について、最初の10年間、調整作業を担当したILO南米南部諸国ディーセント・ワーク技術支援チーム(DWT)兼国別事務所のリカルド・インファンテ元所長は、「多彩で、極めて不平等な労働市場の構造と機能に関する知識を生成し、普及させた上でのパイオニア」であったと評価しています。
以上は次の2点の英文広報資料の抄訳です。
- 2018年12月18日付記者発表-ILO定期刊行物『中南米・カリブの労働概観』最新版発表:中南米・カリブの失業率は2018年に7.8%へとわずかに下降
- 2018年12月20日付広報記事-中南米・カリブの労働市場を追跡して四半世紀