シリア難民危機

ILO事業の援助国代表らがヨルダンにおける難民対応活動の最前線を視察

2017年01月30日

マフラクにおけるILOのシリア難民対応活動視察団一行 © ILO/Khalil Al Jermi

 ILOは近年、通常予算補足勘定(各国レベルでILOの技術協力提供能力を高め、結果が達成されるのを助けることを目的として、使途を定めずに中核的な財源に繰り入れられる任意拠出金)の相当部分をヨルダンのシリア難民と難民受入社会を対象とした活動に支出しています。これには、ヨルダンの労働規制に沿って特定の産業部門で働く就労許可を付与することによってシリア難民の就労及び生計を得る機会の円滑化を政府に働きかけることや、難民受入社会の雇用機会・生計手段の改善などが含まれています。また、様々な産業における雇用の創出を目指した、イルビド及びマフラクにおける地元の3カ年経済開発計画の立案支援や、基盤構造の改善を図りつつ雇用の創出を目指す雇用集約型投資計画のパイロット事業も実施されています。

 ILOは2017年1月24日から3日間にわたり、ヨルダンにおけるILOの活動を支援している様々な開発パートナーの代表に、多数の難民が流入しているマフラクとイルビドの町を視察して、シリア難民危機が地元労働市場に与えている影響の緩和に向けて展開されているILOの活動を直接視察する機会を提供しました。スウェーデン、ノルウェー、ドイツ、ベルギー、オランダといった通常予算補足勘定への任意拠出を行っている国々に加え、カナダ、フランス、スイス、英国、韓国といったその他のILO活動援助国の代表で構成された視察団は、ILOが雇用促進に向けて介入している地域のシリア人及びヨルダン人労働者から直接話を聞き、政府職員や労使代表とも会合を持ってこの介入活動が直面している課題や提示する機会について報告を受けました。シリア難民危機の文脈で、通常予算補足勘定の資金が新たなニーズへの迅速な対応にいかに役立ったかを吟味することに重点を置いたこの視察の案内役を務めたジルベール・ウングボILO現地業務・パートナーシップ担当副事務局長は、この視察の目的は援助国の貢献によって付加された価値を目撃する機会を援助国に与えることであったと説明した上で、「本日私たちが目にしたのは、近年私たちが検討してきた取り組みの成果」であったと述べています。

 視察団に参加してマフラクでシリア難民の家族と話す機会を持った在ジュネーブ・ドイツ代表部からの参加者は「その前向きの姿勢、そしてとりわけ課題の多い定めにもかかわらず浮かべていた笑顔」が「実に印象的」であったとの感想を述べ、「援助国である私たちが、ILOの適切な活動を通じて人々が笑顔になる手助けを行えたとしたら、私たちの向かっている方向は正しいと考えることができる」と結んでいます。

 ILOの活動の多くの部分が、ヨルダン人とシリア人の両方の国の女性の雇用を様々な産業部門で奨励することに充てられています。例えば、就労許可もないままに、2013年からマフラクの農場で働いてきたあるシリア人女性は、労働者に代わって農業協同組合が就労許可を申請できるようにしたILOの支援するイニシアチブを通じて最近就労許可を取得し、「許可がある今は、雇ってくれるであろう農家が増えることを期待しています」と述べて、農繁期の開始を心待ちにしています。道路維持工事などの雇用集約的な事業への女性の関与を奨励するためにイルビドで開かれた啓発機会に参加した19歳の無職のヨルダン人女性は、「働いて収入を得て、労働市場における女性についての社会の認識を変えたい」との希望を語っています。

 ILOがヨルダンで実施しているシリア難民対応活動は、同国のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)国別計画の一部です。この計画はディーセント・ワークの欠如を減らし、社会・経済政策の主流にディーセント・ワークを据えるための国の能力強化を目指しています。通常予算補足勘定は、最もニーズが高い分野に資金を重点的に拠出する柔軟性と、ディーセント・ワーク国別計画で合意された結果を達成する機会をヨルダンにおけるILOの活動に提供するものとなっています。

 視察団の満足した姿を確認したウングボ副事務局長は、1、2年先には、ヨルダンや難民についてのみならず、ILOに付託された任務全般にわたって、通常予算補足勘定が拡充されることへの期待を表明しています。

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 以上はILOアラブ総局によるマフラク発英文記者発表の抄訳です。