社会的保護

ILO事務局長と国連人権高等弁務官が排除されている40億人に社会的保護を広げることを呼びかけ

2018年10月25日

 国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」のターゲット1.3は社会的保護の拡大に関するものですが、ILOはこの進捗状況の測定を担当する国連専門機関として社会的保護世界報告を刊行し、データベースを整備しています。2018年10月24日にジュネーブのILO本部で開かれた「社会的保護に関するSDG1.3の達成を目指すマルチステークホルダー・パートナーシップ第3回会合」には100人以上の政府職員トップ、企業代表、労働組合活動家などの参加がありました。会議に出席したミチェル・バチェレ国連人権高等弁務官とガイ・ライダーILO事務局長は、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の目標達成にとって決定的に重要なこととして、社会保障と社会扶助を支援し、拡大する行動を呼びかける文書に署名しました。この文書は各国に対し、社会的保護のための公的資金の確保と責任をもっての管理運営、公的年金や保健医療、家族手当、失業給付、産前産後給付その他の制度の適用範囲拡大に向けた対話の促進を呼びかけています。

 現在、社会的保護は世界人口の45%にしか適用されていないとILOでは推定しています。したがって、2030年のSDGs達成目標年までにさらに40億人に保護を広げる必要があります。

 ライダー事務局長は会合において、「この社会的保護のギャップの縮小は、社会正義の達成を掲げるILOの公約の中心」にあることを挙げ、あらゆるレベルにおけるさらなる努力の必要性を指摘しました。バチェレ国連人権高等弁務官も「真の開発には近道など存在せず、福祉は例外なく、人への投資を通じて初めて達成できることを私たちは認め始めています」として、人権支援のためにも開発活動に長く残る影響を確保するためにもそのような制度が決定的に重要と訴えました。

 社会的保護に関する最低基準を定める国際労働条約その他の指針を有するILOは、2016年に開始した「すべての人のための社会的保護の土台構築グローバル旗艦計画」を通じて給付拡大に向けた取り組みを主導してきました。デボラ・グリーンフィールドILO政策担当副事務局長は、労使双方が払い込む社会保険と国家予算を財源とする社会扶助の両方に焦点を当てているこの事業計画の手法を概説し、この計画が既にカンボジア、カメルーン、インドネシア、モザンビーク、ザンビアなどの国で1,200万人以上に新たな給付が届くか、給付が改善されるよう支援を提供してきたことを紹介しました。そして、これは終了期限のあるパイロット計画でもプロジェクト終了後に消滅するドナー拠出給付でもなく、今回の会議参加者の多くから集まった集団的な支援によって可能になり、補強された国家機構によって運営されている、各国が保有し、国内財源でまかなっている制度であることを強調しました。グローバル旗艦計画の下には、財団や企業、個人を含む官民パートナーが集結し、世界中で政府、労働者、使用者に適切で持続可能な社会的保護制度の設計・実施に係わる支援を提供しています。

 今回の会合はマルチステークホルダー・パートナーシップ支持者間の対話を奨励するために開かれましたが、このパートナーシップには、ILOの「社会的保護の土台グローバル・ビジネス・ネットワーク」の参加企業の多くを含むILOのグローバル旗艦計画の支持者が集結しています。グローバル・ビジネス・ネットワークは別途、4回目となる年次会合を開き、国連のアジェンダに企業が貢献できる方法、自社の人材や企業の社会的責任(CSR)関連ポリシーを通じて社会的保護を支援する方法について話し合いを行いました。グローバル旗艦計画の支持者には、「労働者のための社会的保護・自由・正義ネットワーク」を通じて各国の労働組合やその国際組織も含まれています。労働組合代表は持続可能で適切な社会的保護の普及を図り、国際開発財源が世界中で社会的保護制度を支援するよう確保する戦略について話し合いを行いました。

 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。