パートナーシップ:ILO/世界銀行グループ
ILO事務局長と世界銀行総裁が誰も取り残されないことを確保する普遍的社会的保護の確立に向けた共同活動計画の立ち上げを発表
2015年06月30日
| 世界銀行グループのジム・ヨン・キム総裁(写真左)とガイ・ライダーILO事務局長 |
6月30日にガイ・ライダーILO事務局長と世界銀行グループのジム・ヨン・キム総裁は、両機関の共同事業として普遍的社会的保護イニシアチブを開始するとの共同声明を発表しました。
ILOと世界銀行グループは社会的保護を必要とする誰もがいつでもその機会を得ることができる世界である「すべての人への社会的保護」の理念を共有しています。すべての人への社会的保護の適用とその機会の提供は、世界銀行グループが2030年までに達成することを目指している貧困根絶と共有された繁栄の推進という二重の目標の中心に位置づけられています。すべての人への社会的保護の適用はまた、ILOに付託された任務の中核に位置し、「2012年の社会的な保護の土台勧告(第202号)」などの基準がこれを導いています。
国際社会で現在検討が進められている持続可能な開発目標の中で社会的保護制度は顕著な位置を占めています。提案されている17の目標の一つとして、「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つこと(目標1)」が掲げられていますが、この達成度合いを測るターゲットの一つに「社会的保護の土台(最低限の社会的保護)を含む、各国に適した、すべての人のための社会的保護の制度と措置を実行し、2030年までに相当部分の貧困層及び脆弱な人々への適用を達成すること(ターゲット1.3)」が含まれています。社会的保護政策は男女平等の達成や所得不平等の縮小といった他の目標の中にも含まれています。
声明は、この新しい開発課題を巡る議論を、「両機関が力を合わせて普遍的社会的保護をあらゆる場所で、誰にとっても現実のものとするためのまたとない機会」と位置づけ、多くの国が社会的保護の適用範囲の拡大に乗り出し、かなりの前進を報告してはいるものの、依然として世界人口の大多数が十分な保護を享受するにはほど遠い状態にある現状を認め、今こそ、より大規模な変化のきっかけとなる革新的な措置を決然と講じることを呼びかけています。そして、各国が普遍的かつ持続可能な社会的保護制度を設計・実行するのを支援することによって普遍的社会的保護を提供する国の数を増大させることを目指す共同活動計画の立ち上げを発表しています。
21世紀に入り、開発課題の概念には再び普遍性が取り入れられるようになりました。2000年に定められたミレニアム開発目標には普遍的初等教育の目標が盛り込まれ、2012年の国連総会ではユニバーサル・ヘルス・カバレッジを支持する決議が採択されました。次に取り組むべきは普遍的社会的保護です。
ILOと世界銀行グループが考える普遍的社会的保護とは、貧困層と脆弱な人々に特に注意を払いつつ、生涯を通じてすべての人に所得保障と支援を確保するよう設計された総合的な政策集合を意味します。これには、◇必要とするすべての人々、とりわけ児童に対する十分な現金給付、◇生産年齢人口に対する出産、障害、業務上の負傷、失業時における給付及び支援、◇すべての高齢者に対する年金といった要素が含まれます。この保護は社会保険、税を財源とする社会給付、社会的援助サービス、公共事業計画、基本収入を保障するその他の制度を通じて提供することができます。
上手に設計され、実行されている社会的保護制度は国を力強く築き上げ、人的資本や生産性を高め、貧困を根絶し、不平等を縮小し、社会平和の構築に寄与する可能性があります。これは社会に公平な成果をもたらす包摂的な成長と持続可能な開発の達成に向けた国家開発戦略の必要不可欠な要素を構成します。世界銀行グループとILOは各国の普遍的社会的保護の達成を支援するよう努めています。
既に、社会的保護は開発の主たる手段であり、優先事項であるとの合意が形成されつつあります。普遍的社会的保護の理念はアフリカ連合、東南アジア諸国連合(ASEAN)、欧州委員会、主要20カ国・地域(G20)、経済協力開発機構(OECD)、国連も支持しています。声明は、今こそ力を合わせて普遍的社会的保護を現実のものにしようと呼びかけています。
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以上はILO事務局長と世界銀行総裁の2015年6月30日付英文共同声明の抄訳です。