BRICS労働・雇用大臣会合
ILO事務局長が第1回BRICS労働・雇用大臣会合に出席:成長だけが話のすべてではない
2016年01月26日
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良質の仕事の創出と包摂的な雇用政策を焦点に1月25~26日にロシアのウファで開かれているBRICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国)の初の労働・雇用大臣会合に出席したガイ・ライダーILO事務局長は25日に行った発表で、近年の情勢に鑑みてこれらの国で求められている行動を提案しました。
近年世界中で膨らみつつある中流階級を牽引してきたBRICS諸国ですが、ライダー事務局長は、この世帯の多くが中位貧困線をそれほど上回らない位置に留まっていることに注意を喚起して、現在の環境下では、中流階級を支えている高い経済成長が当然に続くと思ってはならないと強調し、経済に対する逆風が努力を無に帰す危険性を警告しました。そして、「とりわけ雇用と社会福祉に責任を負う我々としては、成長だけが話のすべてではなく、高い成長が必ずしもディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)、包摂、公平を保障しない点」に留意することの重要性を指摘しました。事務局長は、生産性と経済転換の懸念事項に取り組みつつ、雇用創出を後押しするためには基盤構造に対する効果的な公共投資が必要であることも強調しました。また、「製品または工程のイノベーションを通じて生産性の上昇を達成した企業は、より高い雇用成長を示す堅固な証拠がある」として、より多くのより良い雇用を創出するもう一つの手段として「企業の近代化」を挙げました。さらに、BRICS諸国の雇用の主な受け皿となってきた中小企業の役割に注意を喚起して、ILOでも中小企業の労働条件と生産性が過去2年間の優先活動分野の一つであったことを紹介しました。
事務局長はまた、「職場における継続的な訓練と生涯学習は、ますます速まる変化の速度に労働者と企業が付いていくことを可能にする」として、提供される技能を労働ニーズと需要に合わせるためには訓練の提供者と企業との間に堅固な橋を架け、継続的なコミュニケーションを図ること、そして政府と共に労使がこの過程に直接参加するよう確保することをBRICS諸国に呼びかけました。また、技能と需要をマッチさせる上での公共職業安定機関の役割の重要性にも触れ、この機関は企業と労働者だけでなく、企業と訓練機関をつなぐ助けにもなり得ると語りました。
また、老後の所得保障のために年金制度の強化を優先事項の一つにすべきことを提案し、社会的保護の分野でBRICS諸国に見られる大きな進歩を認めつつも、実際の財政的な努力以外にも適用のための仕組み、給付水準の適切さ、働き方の変化に対処する制度能力などに関し、さらなる取り組みが必要なことを指摘し、この点で社会的保護に関するILOの条約・勧告が、長い時間をかけて試され、どんな開発段階の国にも適用できる、社会的保護と年金制度構築に関するしっかりとした助言を提供していることを紹介しました。
共同宣言を採択
労働・雇用大臣らは話し合いを終えて、良質の仕事の創出、労働市場のフォーマル化、BRICS諸国間における労働・雇用分野の情報交換に係わる事項を反映した宣言を採択しました。宣言は、「良質の包摂的な雇用の促進、労働・雇用問題に関する情報交換・経験交流やBRICS内対話の強化、社会的包摂に関するBRICS内の調整と協力の拡大」を「我々の人民及び国際社会に利益をもたらす長期的な協力に向けた重要な一歩」と位置づけ、持続可能な成長の促進における労働・雇用政策の重要性を認めています。そして、以下の促進を通じて将来の活動の焦点を雇用の質と包摂性の改善に絞っていくことに合意しました。
- 雇用機会の創出を目指した新技術の導入、企業・経済部門の近代化
- 職業基準・資格の開発
- 企業の要求事項を考慮に入れた上での、職業資格・基準に沿った、職業教育訓練の質の向上
- 労働力の流動性
- とりわけ近代的で生産的な仕事に関する求人情報の収集・普及、求職活動
- 労働者の権利の十分な尊重と社会的保護の適用機会を確保するように非標準的な労働形態を対象とする規則を定めること
- 社会的排除及びディーセント・ワーク機会からの疎外を防止するように脆弱な集団の社会的保護、求職中の失業者に対する保護を強化すること
宣言はインフォーマル就業が経済の足かせになり、経済成長潜在力や市民の福祉向上に向けた努力に影響を与えることを認め、「労働市場のフォーマル化」をBRICS諸国にとっても世界にとっても優先事項の一つととらえ、移行を円滑化する戦略に含むことができるものとして、「フォーマル経済で雇用を求める労働者の支援や使用者に対する奨励措置、労働監督・法の執行の強化」などを挙げています。さらに、社会的パートナーが労働・雇用分野の政策の策定・実行に寄与できる可能性がある手段として団体交渉及び社会対話の重要性を強調しています。また、BRICS諸国におけるディーセント・ワークの促進に向けた一貫性のある戦略の策定を支援し、特定の共通関心事項に取り組むためにILOをはじめとした国際機関との協力をさらに強化していくことについても合意されました。
ロシアが主導している、人材開発に重点を置いた社会・労働分野の情報蓄積事業に対する支持も表明されました。ロシアからは将来の互恵協力の基盤とすべき社会・労働分野における協力に関する覚書の締結も提案されました。大臣会合は労働・雇用分野における対話を維持し、この種の会合を定期的に開催することにも合意しました。
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以上は次の3点のウファ発英文記者発表の抄訳です。
- コミュニケーション・広報局による2016年1月26日付記者発表-ILO事務局長が第1回BRICS労働・雇用大臣会合に出席:成長だけが話のすべてではない
- ILO東欧・中央アジア・ディーセント・ワーク技術支援チーム(DWT)兼国別事務所による2016年1月26日付記者発表-第1回BRICS労働・雇用大臣会合:共同宣言を採択
- ILO東欧・中央アジア・ディーセント・ワーク技術支援チーム(DWT)兼国別事務所による2016年1月22日付記者発表-良質の仕事と包摂的な雇用政策について話し合うBRICS労働大臣会合を初めて開催