国際労働基準

ILOハイレベル視察団のベネズエラ派遣中止

2018年01月30日

 ベネズエラに対しては、2015年の第104回ILO総会の複数の使用者側代表から、1948年の結社の自由及び団結権保護条約(第87号)1928年の最低賃金決定制度条約(第26号)及び1976年の三者の間の協議(国際労働基準)条約(第144号)の適用状況に関する苦情がILO憲章第26条に基づき申し立てられていますが、これに関連して2018年1月29日から2月1日まで同国を訪問する予定だったILOハイレベル視察団は、派遣に必要な条件が整わなかったため、訪問を中止することとしました。

 ベネズエラに関しては、ベネズエラ商業会議所製造業者協会連盟(FEDECAMARAS)と国際使用者連盟(IOE)が2003年に理事会の結社の自由委員会に申し立てた案件を始め、同国の最も代表的な使用者団体であるFEDECAMARASに対する攻撃、威嚇、協議対象からの除外などの問題が一向に解消されない状況が長くILOで検討されてきました。2004年にも第92回ILO総会の複数の使用者側団体から第87号条約の適用状況に関する苦情が憲章第26条に基づき申し立てられましたが、この時は苦情を審議する審査委員会を設置する代わりにハイレベル政労使調査団を現地に派遣することとし、調査団からは最も代表的な労使団体が参加する体系的な三者構成の社会対話機関の設立に必要な条件の形成などを求める勧告が出されました。しかし、その後、政府が全く勧告を実施せず、それどころか、FEDECAMARASとその加盟団体に対する攻撃等をエスカレートさせる状況にあることを理由として、新たな申し立てが提起されました。

 2015年の申し立ては、FEDECAMARASの指導者やその本部に対する攻撃、社会対話過程からのFEDECAMARASの排除、三者による協議を経ないで行われた最低賃金の引き上げなどを内容としています。理事会は複数回にわたってこの申し立ての取り扱い方について検討を行い、2017年10~11月の第331回理事会で、進展の欠如に深い懸念と遺憾の意を表した上で、2017年末までに政労使円卓会議を制度化して社会対話を育むよう政府に要請し、そのためのハイレベル視察団の派遣を決定し、2018年3月の次期理事会に提出されるその報告書を待って、審査委員会設置の是非を決定することとしました。

 ILOはこれに基づき、理事会役員率いるハイレベル視察団を受け入れ、政府当局者、FEDECAMARAS及びその加盟組織・会員企業、労働組合、あらゆる社会セクターの指導者との会合を手配することを政府に依頼していましたが、指定したすべての労働者団体その他の活動主体と会合できる確認が得られなかったため、理事会役員は効果的かつ完全に派遣目的を遂行するのに必要な条件が整わなかったと結論づけ、訪問の中止を決定しました。

 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。