国際的な政策協力
ILOなど6国際・地域機関トップが独首相と協議:地球規模の課題に取り組むには経済政策における協力が必要
2018年06月11日
ドイツのアンゲラ・メルケル首相の主導の下、経済政策における協力について話し合うために、国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事、経済協力開発機構(OECD)のアンヘル・グリア事務総長、ガイ・ライダーILO事務局長、世界貿易機関(WTO)のロベルト・アゼベド事務局長、世界銀行のクリスタリナ・ゲオルギエヴァ最高経営責任者(CEO)、アフリカ開発銀行(AfDB)のアキンウミ・アデシナ総裁という6国際・地域機関のトップは2018年6月11日にベルリンで会合を持ちました。会合の結果、世界規模の課題に対処し、新たな基準を設定し、包摂的で持続可能な成長の展望を向上させるには、経済政策の国際協力を育む共通の手法が依然として必要であるとの共通見解を発表しました。
2017年に3.8%に達した世界経済成長率は2018~19年には3.9%とわずかながらさらに上昇すると見られ、米国では拡張的な財政政策が完全雇用を上回る経済状態をもたらすと期待され、アジア及び欧州の新興国経済では力強い成長が継続すると見込まれ、インフレ圧力の抑制は続き、金融情勢は一般に支持的で、商品貿易量は2018年に4.4%の成長を示すと予想され、世界の失業率は2018年にわずかに下がって5.5%になると思われるといったように、好ましい国際情勢が続いています。しかしながら、金融情勢の突然の逼迫などの下降リスクは存在し、生産性を高め、包摂性を強める信頼の置ける戦略が多くの経済で必要であり、現在の状況は、下降リスクに対する強靱性を構築しつつ、生産潜在力を後押しし、成長の利益が幅広く共有されるのを確保する改革を行う理想的な機会を提供しています。世界の不均衡の原因は複雑かつ多面的で、依然としてこの点での多国間協力が決定的に重要です。
貿易政策の協力と調整はかつてないほど極めて重要であること、前途有望な新たな動向であるデジタル技術は巨大な成長潜在力と共に課題も提起していること、効果的な多国間主義がかつてないほど重要になっていること、アフリカの安全保障、安定性、持続可能な開発の優先順位は依然として高いこと、季候変動に取り組み、有限の天然資源を保護することは緊急の重要な政策課題であること、などの共通の見解が示されました。また、年金基金や国富ファンド、保険基金、民間資産ファンドのアフリカ投資をてこ入れし、リスク回避を手助けするために多国間開発銀行や国際金融機関の資金をプールする投資市場であるアフリカ投資フォーラムの新設が歓迎されました。
ILOに関連する事項としては、成長の推進力を全世界的に広げ、グローバル・バリューチェーン(世界的な価値連鎖)の効率的な操業を許し、人間らしく働きがいのある仕事と消費の機会を幅広く作り出すためには、国際貿易と市場開放が必要とされ、グローバルな規模での成長や就労、開発の新たな機会のためにはWTOが必要不可欠とされました。また、成長と雇用機会に拍車を掛けるもう一つの重要な手段として、新たな二国間貿易協定・地域自由貿易協定の締結に向けて進められている取り組みが評価されました。
新たな産業革命(NIR)が既に、国々の比較優位や物理世界とデジタル世界の伝統的な境界、商品とサービスの境界を変えることによって、仕事、生産、貿易、投資の範囲や規模、速度、形態を変化させていることも指摘され、技術革新の利益がすべての人に行き渡るよう経済の円滑な移行を支援する戦略に取り組んでいる政府や国際機関の努力が歓迎されました。その上で、デジタル化の潜在力を完全に発揮させるには、質の高い教育や若者の就労、社会的包摂、男女平等、公式就労への移行、デジタル・インフラへのアクセスなど、革新性に主導された包摂的な成長を支える一貫性のある前向きの政策を策定する必要があることが指摘されました。
現在進行中のグローバル化と新たな技術変化の影響に鑑み、目標は依然として世界中でディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)と良質の仕事を促進することであるとされ、その点で、国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」とそこに組み込まれているすべての人のディーセント・ワーク実現に向けたILOの取り組みに対する全面的な支持が表明されました。さらに、グローバル・サプライチェーンへの国際労働・社会基準のより良い適用の達成に向けて、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」の各国における実施とOECDの多国籍企業行動指針及びILOの多国籍企業宣言の実施のさらなる強化に対する支持も表明されました。そして、これらの目標達成における重要な手段として社会的なパートナーシップと社会対話を世界中で強化することが提案されています。さらに、貧困やなかなか解消されない不平等、失業を減らし、ディーセント・ワークを促進するには、主要7カ国(G7)や主要20カ国・地域(G20)のプロセス、あるいはILOの「仕事の未来100周年記念イニシアチブ」などの国際的な協力とイニシアチブが基本的なものとされています。
また、持続可能な代案に向けた公平な移行において企業と労働者が演じる決定的に重要な役割が認められているパリ協定の迅速で全面的かつ野心的な実施に向けた約束が改めて表明されました。
以上はベルリン発英文共同記者発表の抄訳です。