ILO新刊:欧州の雇用重視型投資戦略
ECの投資計画は210万超の雇用を生む可能性があると予想-ILO新刊
2015年01月28日
2014年第2四半期の欧州連合(EU)加盟国の経済成長は、2008年の経済危機開始以前の平均2.7%を大きく下回る1.3%に留まりました。雇用情勢は依然として脆弱で、平均失業率は危機前水準を3ポイント近く上回る10%あまりに達しています。しかし、国毎のばらつきが大きく、南欧及び一部中欧諸国では高い状態が続き、例えば、7年前には8%台であったスペインとギリシャの失業率は2014年第3四半期に前者は23%超、後者は25%超に達しています。
このような状況に鑑み、欧州委員会(EC)のジャン=クロード・ユンカー委員長は、雇用創出を主眼とする、官民合わせて総額3,150億ユーロに達する3年間の投資計画を提案しました。企業投資、成長、雇用創出を奨励することによって、欧州中央銀行が最近発表した金融措置を補足する可能性のあるこの計画は、2018年半ばまでに210万人分以上の雇用を新規に創出する可能性があると、このたび発表されたILOの報告書『An employment-oriented investment strategy for Europe(欧州の雇用重視型投資戦略・英語)』は結論づけています。ただし、失業問題の大幅緩和が達成される条件として、とりわけ仕事を豊かに生む小企業の民間投資が計画の相当部分を占めること、そしてニーズの高い国が基金の恩恵にあずかることができるようにEU内の大きな失業格差に対処すべきことを挙げ、加えて重要な点として、良質の仕事とバランスの取れた改革に焦点を当てた長期的な雇用戦略を伴うべきことを提案しています。
例えば、2007~13年に高失業国に投入された欧州投資銀行の資金額は全体の3分の1にも達していません。危機の打撃を受けた国では民間投資が弱いため、これらの国への資金の投入は、より戦略的で影響力の高い活動へと資金の再配分を奨励することになると思われます。そこで、報告書は「いつも通りのやり方」に陥って、必要度が最も高い国々や産業部門に資金が行き渡らないといったことがないよう確保することをEUの政策策定に携わる人々の課題としています。
欧州の失業者の半分が1年以上職がない状態が続いており、女性と若者の状況は特に深刻です。長期失業者は求職意欲を失い、労働市場に背を向ける可能性が高くなります。若者の場合は特にそう言えますが、技能の低下と共に就業能力も失われ、労働市場が回復を始めても仕事を見つけることがますます難しくなります。需要の弱さは企業投資にも影響を与え、競争力を阻害します。報告書は早ければ今年年央から実行を開始できるよう、立法手続きを迅速化させる決定の重要性を強調しています。さらに、政府、使用者団体、労働者団体の三者が協力し合った時に調和の取れた持続可能で信頼のおける解決策が達成できる可能性が最も高まることを指摘して、国内外における調整と対話の必要性を説いています。
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以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。