金融部門産業別会合

金融部門のデジタル化から受益するには政策環境の改善が必要とILO会議が結論

2022年01月31日

 金融部門におけるディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の機会と課題について話し合うために、政府、使用者、労働者の代表が集い、2022年1月24~28日に開かれた「金融部門に対するデジタル化の影響ILO技術会合」は、デジタル化から受益するには適切な政策環境が必要とする結論を採択して閉幕しました。会合では、そのような枠組みは、伝統的な銀行及び保険会社並びに新たに登場してきた科学技術系企業の両方を含むこの産業部門のビジネスが生産的なディーセント・ワークを生み出すような、平等な競争の地歩を形成するとの合意が達成されました。

 金融部門の就業者は世界全体で少なくとも5,200万人に上ります。2020年のデータではこのうち少なくとも460万人が若者であり、54.7%を若い女性が占めているとされます。この部門はまた、金融機会や起業家育成を通じて他の産業部門における雇用創出を円滑化しており、それは社会全体に利益をもたらします。

 遠隔勤務その他の作業取り決めが効果的に生産性を高め、雇用維持を円滑化し、ディーセント・ワークの機会を促進し、包摂を育むよう確保する措置が求められます。

 コロナ禍はまた、最前線の仕事の重要性、そして経済全体の回復と事業継続性にとってのこの産業部門の重要性に光を当てることになりました。これは同時に、作業プロセスの自動化のみならず、事業モデルや作業組織の変革も加速させました。こういった展開は遠隔勤務状況下などにおけるワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)や心理社会的リスクに関するものを含む労働安全衛生や労働条件、技能開発に影響を与えています。

 会議の政府側副議長を務めたフアン・フランシスコ・ポソ・エクアドル政府代表は金融部門について、「雇用に相当に貢献しており、金融包摂を通じて企業開発を育み、都市と農村の分断を縮小し、女性の経済参加を増し、中小企業に利益を与えています」と評価しています。

 金融部門のデジタル化は革新的な取り組みと起業家精神をさらに後押しし、低炭素経済に向けた公正な移行を支える可能性があります。使用者側副議長を務めたイタリア銀行業協会のジャンカルロ・フェラーラ社会部長は次のように語っています。「この産業部門は経済成長と雇用促進的なマクロ経済条件を促進する上で、あらゆる国で重要な役割を演じています。デジタル金融はまた、消費者により良い銀行・金融商品を開発する機会、そして企業融資の新たな道筋を形成することによって金融包摂を改善することになるでしょう」。

 デジタル化の影響を管理し、新技術の導入を円滑化するカギを握るものとして社会対話を挙げることができます。労働者側副議長を務めたUNIグローバルユニオンのリタ・ベルローファ金融部会長は「作業組織の変化に直面しての革新的な社会対話構造と公正なデジタル移行のための手順を促進すべき」と説いています。

 会議の議長を務めたオマーン労働省のアブドゥラ・ムラド・アルムラヒ企画担当審議官は、「この産業部門におけるデジタル活用の加速化はまた、労働者のプライバシーやサイバーセキュリティ、データ保護などを巡る問題を含み、金融部門で働く人々に対するデジタル化の何らかの負の影響に対処するため、規制環境その他の措置に関する議論を要請しています」と指摘します。

 会合ではこういった課題に取り組み、教育制度や訓練機関、民間セクターと調整を図り、学生や労働者が必要なデジタル・専門技能や職業能力を備えるよう確保することの政府及び社会的パートナーである労使にとっての重要性にも光が当てられました。採択された結論はまた、ディーセント・ワークの達成、持続可能な企業の育成、金融包摂に向けて、金融部門のデジタル化潜在力を政府、使用者、労働者が最大限に活用することを支援するものにもなっています。

 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。