ILO新刊:レバノンの児童労働

路上を拠点に働くレバノンの子どもたちの苦境に光を当てる新刊を発表

2015年02月16日

© Tabitha Ross/ILO

 路上を拠点とする子どもたちの労働は最悪の形態の児童労働の一つとされていますが、このたび、レバノンでますます目につくようになってきたこの現象の規模と特徴を初めてまとめた報告書が作成されました。子どもたちが路上で暮らし、働いている理由を理解するために、レバノン労働省の依頼を受け、ILO、国連児童基金(UNICEF)、非政府組織(NGO)のセーブ・ザ・チルドレン・インターナショナルが共同で委託した専門家チームによって作成された報告書『Children living and working on the streets in Lebanon: Profile and magnitude(路上で暮らし、働くレバノンの子どもたち:概況と規模・英語)』は、国内18地区で路上を拠点に物乞い、商売やサービス提供、ある種の不正行為などに従事する子どもたち1,510人のサンプルを抽出し、うち700人に聞き取り調査を行ってまとめられています。こういった子どもたちの大半が首都ベイルートやトリポリといった都市部で見られ、年齢は半数以上が10~14歳で、少年が3分の2を占めています。

 全体の約4分の3がシリアの出身者であり、最近のシリア難民の流入がこのような子どもたちの増加を引き起こしてはいるものの、この現象自体は古くから見られ、移民の流入に加えて、社会的排除、世帯の脆弱性、組織犯罪と子どもの搾取が主な推進要因になっていることが判明しました。数自体は何とかできる規模であるものの、人身取引その他の不正活動とのつながりもあり、当事者である子どもたちの社会・経済状態、法的状態の観点から見ると非常に複雑な問題であると言えます。

 2月16日にベイルートで発表されたこの報告書は、2013年に開始された最悪の形態の児童労働の撤廃に向けた国内行動計画の枠内でこの現象に取り組むための活動として、◇子どもの最善の利益に沿った形での関連法律の執行、◇教育への再統合、基礎サービスの提供、◇脆弱なコミュニティーにおけるものを中心とした世帯レベル介入による防止活動、◇反児童労働国内運営委員会の下での協力・協調体制の改善の四つを柱とした包括的な対応を提案しています。路上で働く子どもたちは政府や非政府組織による優先介入分野の一つになっていますが、フランク・ハゲマンILOアラブ総局次長は、「今回の調査研究で判明した事実は、子どもを路上から引き離し、より良い未来を提供するためにILOがそのパートナーとより効果的に活動することを可能にしよう」と語っています。

路上で働き、暮らすレバノンの子どもたちが広報啓発研修プロジェクトの過程で学んだアニメーション制作技能を用いて作成した自分たちの経験を語るアニメーション動画(アラビア語・英語字幕付)

 レバノンは2000年からILOの協力を受けて、最悪の形態のものに重点を置いて児童労働をなくすための活動を展開し、2016年までに最悪の形態の児童労働を撤廃することを目指しています。ILOのウェブサイト上には、広報啓発研修プロジェクトの過程で学んだアニメーション制作技能を用いて、路上で働く子どもたち自身が作成した自分たちの経験を語る短い動画が複数掲載されています。

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 以上はILOアラブ総局によるベイルート発英文記者発表の抄訳です。