中東・北アフリカの社会対話

良好な労使関係の確保に不可欠な手段として団体交渉と社会対話に光が当てられた中東・北アフリカ地域のワークショップ

2015年09月03日

 ILOの就労に係わる基本的原則・権利部は、スウェーデン、ノルウェー、米国の諸政府の支援を受けて、8月31日~9月3日の4日間にわたり、ヨルダンの死海地方において中東・北アフリカ地域の被服、農業関連産業の労使代表を対象に、団体交渉と社会対話に関する好事例と経験の共有を図るワークショップを開催しました。参加者が有意義な団体交渉プロセスに従事できるようその能力を向上させることを目的としたワークショップには、エジプト、ヨルダン、モロッコ、チュニジアから参加者があり、社会対話や団体交渉によって労働者の生活・労働条件や産業成績の向上が達成された事例が報告されました。また、異なる国・産業で社会対話を深め、促進する方法についての知識の共有も図られました。研修内容はトリノ(イタリア)にあるILO国際研修センターが設計しました。

 ILOは、成功を収めている社会対話の構造とプロセスは重要な経済・社会問題を解決し、良い統治(ガバナンス)を奨励し、社会や産業の平和と安定を進め、経済進歩を後押しする潜在力を秘めていると考えています。社会対話とは本質的に労使団体二者によるプロセスですが、団体交渉を可能にする環境を確保し、このプロセスを前進させる上で政府は重要な役割を演じることができます。就労に係わる基本的原則・権利部のフィリップ・フィッシュマン上級技術顧問は、この地域では現下の政治不安の問題もあって、社会対話と団体交渉の分野であまり実質的な動きはないとの印象があるかもしれないが、実際には人々が思う以上の出来事が進行中であるとして、「モロッコ、チュニジア、ヨルダンでは産業レベルの団体交渉に基づく労働協約が数万人の労働者の暮らしを改善しており、エジプトの状況もそれほど遅れてはいないかも知れない」と指摘しています。

 モロッコの労働者側参加者は、特定期間にわたる当事者すべてにとっての社会平和の達成という目的を共有する社会対話と団体交渉は相互に連結していることを指摘しました。チュニジアの使用者側参加者は、政府は社会対話のプロセスにおいて社会と経済の両方の側面におけるプレーヤーとしての役割を演じ、労使の調停者として機能し、難しい問題に対する解決策の発見を助けてくれるべきと説いています。ヨルダンからの出席者は既製服部門における実効性のある交渉と社会対話に係わる成果として、2013年に団体交渉を経て産業全体をカバーする労働協約が達成され、今年8月に協約期間はさらに2年延長されたことを報告しました。この協約についてヨルダンの使用者側出席者は「すべての当事者が足並みを揃えて前進することを確保した」として、工場や組合毎に協約をバラバラに結ぶのではなく、産業全体を司る一つの協約が得られたことにより、一つの共通の声、一つの共通の利益の下で活動する助けになったと報告しています。

 中東・北アフリカ地域においてILOは企業及び産業レベルで健全な労使関係を構築する重要な手段の一つとして団体交渉の促進を手助けしています。様々な産業部門における健全な労使関係を後押しすることを目指し、労働争議の管理、団体交渉、社会対話などの分野における社会的パートナーの能力向上を通じて就労に係わる基本的な権利と原則の促進を図る複数のプロジェクトを実行しています。

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 以上はILOアラブ総局による死海発英文記者発表の抄訳です。